MigrationWizのフォルダーフィルタリングとフォルダーマッピング

本ガイドでは、MigrationWizのフォルダーフィルタリングとフォルダーマッピング、およびそれらを適用する方法について説明します。これらのオプションを設定することにより、移行の簡素化と迅速化を図ることができます。 

フォルダーフィルタリング

MigrationWizでは、正規表現(RegEx)構文を使用して、フォルダーの除外と包含を行うことができます。

フォルダーをフィルター処理することによって、移行するアイテムのインデックス作成に要する時間を短縮することができます。  フォルダーフィルターを設定すると、MigrationWizは、移行元のすべてのフォルダー名のインデックスを作成した後で、フォルダーフィルターを適用します。  そして、フォルダーが絞り込まれた後にフォルダー内のアイテムのインデックスが作成されるため、移行するすべてのフォルダーのインデックス作成にかかる時間を短縮することができます。

フォルダーフィルターの設定方法:

  1. プロジェクトの一覧が表示されない場合は、「プロジェクト(Projects)」 タブをクリックします。
  2. 一覧から、該当するプロジェクト名をクリックします。 「プロジェクトの編集」ボタンをクリックします。
  3. ドロップダウンリストから、「詳細オプション(Advanced Options)」を選択します。
  4. 「フィルタリング」タブ内で、フィルターを指定します。
  5. 保存(Save)」をクリックします。

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フォルダーの正規化

MigrationWizでは、指定された正規表現を使用して、フォルダーをフィルター処理します。フォルダー名の正規化の規則は、以下の通りです。

  • 大文字と小文字の区別 - フォルダー名は、大文字と小文字が区別されません。
  • フォルダーパスの区切り文字 - メッセージングシステムに関係なく、すべてのフォルダーパスを「/」(スラッシュ)で区切る必要があります (例: Inbox/SubFolder)。
  • 先頭の区切り文字 - 先頭の区切り文字は入力しないでください。たとえば、「/Inbox/SubFolder」ではなく、「Inbox/SubFolder」と指定します。
    • これは、Dropboxの移行には当てはまりません。移行元エンドポイントがDropBoxの場合、最上位のフォルダー名は「/」になります。
  • 末尾の区切り文字 - 末尾の区切り文字は入力しないでください。たとえば、「Inbox/SubFolder/」ではなく、「Inbox/SubFolder」と指定します。
フォルダー名がローカライズされている場合は (例:「Inbox」はオランダ語で「Postvak In」)、ローカライズされた名前を使用してください。 
フォルダーフィルターの形式は、移行先(インポート側)ではなく、移行元(エクスポート側)に基づきます。したがって、移行元と移行先の形式が異なる場合、移行元の形式を反映したフィルターを設定する必要があります。ドキュメント移行プロジェクト (例:GoogleドライブからOneDrive for Businessへの移行)では、このような形式の相違は一般的です。詳細については、下表のフィルター構文の例の「^(?!My Drive/Some/Folder/Path)」を参照してください。
^」は、「文字列の先頭にマッチする」ことを示します。文字列の先頭にマッチするすべてのフォルダーを除外します。
^(?!abc)」は、否定先読みを示します。「^(?!」に続く文字列にマッチするフォルダーのみを移行します。
フォルダーパスの末尾には、「)」を付けてください。

Googleドライブ

移行元がGoogleドライブの場合、フォルダーフィルターにはルートの「My Drive」を含める必要があります。
例: ^My Drive/Folder A/Folder B

Google共有ドライブ

移行元がGoogle共有ドライブの場合、フォルダーフィルターにはGoogle共有ドライブのルートのドライブ名を含める必要があります。

例: ^DriveName/Folder A/Folder B

SharePointおよびOneDrive

移行元がSharePointまたはOneDriveの場合、フォルダーフィルターにはルートの「Documents」または「Shared Documents」を含める必要があります。
例:
^Documents/Folder A/Folder B
^Shared Documents/Folder A/Folder B

 

​フィルター構文 ​説明
^Inbox/ 「受信トレイ(Inbox)」の配下のサブフォルダーは移行しません。
(^Inbox$|^Inbox/) 「受信トレイ(Inbox)」および「受信トレイ(Inbox)」のサブフォルダーは移行しません。
(^Folder1$|^Folder2$|^Folder3/) 「Folder1」と「Folder2」、および「Folder3」のサブフォルダーは移行しません。「Folder1」と「Folder2」のサブフォルダーは移行されますので、注意してください。
^(?!Inbox$) 「受信トレイ(Inbox)」のみを移行します。他のフォルダーはすべて除外されます。
^(?!Inbox) 「受信トレイ(Inbox)」と配下のサブフォルダーのみを移行します。他のフォルダーはすべて除外されます。​
​^(?!Foo/ABC) 「Foo/ABC」で始まるフォルダーのみを移行します。
​^Foo/ABC ​ 「Foo/ABC」で始まるフォルダーを除外します。
​^(?!.*Marketing)  パスに「Marketing」が含まれるフォルダーのみを移行します。
​^Deleted Items/Frequent Contacts  ​「削除済みアイテム(Deleted Items)」フォルダーの配下にある 「よく使う連絡先(Frequent Contacts)」 フォルダーを除外します。
​^(?!Inbox/Foo|Inbox/Bar)     ​「受信トレイ(Inbox)」の「Foo」フォルダーと、「受信トレイ(Inbox)」の「Bar」フォルダーのみを移行します。 注: 括弧は必須です。
​^(?!INBOX/james1|INBOX/james2|INBOX/samantha|INBOX/john)​ ​「受信トレイ(INBOX)」の「james1」、「受信トレイ(INBOX)」の「james2」、「受信トレイ(INBOX)」の「samantha」、「受信トレイ(INBOX)」の「john」以外のすべてのフォルダーを除外します。 つまり、これらの4つのフォルダーのみが移行されます。
​^(?!My Drive/Some/Folder/Path) ​Googleドライブ内の「My Drive/Some/Folder/Path」にマッチするサブツリーのみを移行します。 注: フィルターは、常に移行元の形式に基づいて設定されます。移行先がOneDrive for Businessの場合、マッチするデフォルトの移行先ディレクトリパスは「Documents/Some/Folder/Path」ですが、これは移行元ではなく移行先のパスなので、このパスがフィルタリングに使用されることはありません。

 削除されたコンテンツ

 移行済みのデータを移行元で削除した場合に、後続の移行サイクルで、削除済みファイルを除外するフォルダーフィルターを移行元に適用しても、そのフィルターは機能しません。MigrationWiz APIは、削除されたコンテンツを第2段階のごみ箱から復元します。

この場合にフォルダーフィルターを機能させるには、後続の移行サイクルを開始する前に、移行先のSharePointの第2段階のごみ箱から、削除済みのデータを完全に削除する必要があります。

フォルダーマッピング

移行元のフォルダーを移行先のフォルダーにマップするには、サポートオプションのフォルダーマッピングを使用します。たとえば、メールボックスの移行で、移行元の「受信トレイ」フォルダーを移行先の「古い受信トレイ」フォルダーにマップする場合などです。

フォルダーマッピングオプションは、サポートオプションの設定ページで、正規表現を使用して追加します。このオプションは、個々のアイテムまたは移行プロジェクト全体(移行プロジェクト内のすべてのアイテム)に適用されます。メールボックス移行でフォルダーマッピングオプションを使用するための詳細な手順と、フォルダーマッピングオプションを目的に合わせて修正する方法の例を、以下に示します。

重要

フォルダー名に次の文字が使用されている場合は、エスケープ文字の「\」を入力して、移行元フォルダーが正しくマップされるようにする必要があります。

  • [ \ ^ $ . | ? * + ( ) { } 

該当するすべての移行元フォルダーに対し、必ずこのエスケープ文字を使用してください。

移行プロジェクト全体にフォルダーマッピングを適用する

移行プロジェクト内のすべてのアイテムに適用されるフォルダーマッピングを移行プロジェクトに追加するには、次の手順に従います。

  1. MigrationWizダッシュボードで、フォルダーマッピングを追加する移行プロジェクトをクリックします。
  2. 移行プロジェクトのページで、「プロジェクトの編集」をクリックし、ドロップダウンリストから、「詳細オプション(Advanced Options)」を選択します。
  3. 「サポート(Support)」タブ内の 「サポートオプション(Support Options)」フィールドに、次のサポートオプションを追加します:
    FolderMapping="^移行元フォルダー->移行先フォルダー" 「移行元フォルダー」と「移行先フォルダー」の部分を、移行元および移行先環境のフォルダー名にそれぞれ置き換えてください。
  4. +」記号をクリックすると、新しい行が表示され、追加のフォルダーマッピングを設定することができます。
  5. 保存(Save)」をクリックします。

個々のメールボックスにフォルダーマッピングを適用する

重要: メールボックス全体を移行先メールボックスの単一のサブフォルダーに移行する場合は、予定表アイテムと連絡先アイテムに対して、追加のサポートオプションを設定する必要があります。このオプションを追加しないと、移行先で移行されたアイテムにアクセスする際に問題が生じます。 

メールボックス移行プロジェクトで、個々のアイテムにフォルダーマッピングを追加するには、次の手順に従います。

  1. MigrationWizダッシュボードで、フォルダーマッピングを追加するアイテムを含む移行プロジェクトをクリックします。
  2. 移行プロジェクトのページで、フォルダーマッピングを追加するアイテムを特定します。
  3. そのアイテムの右端にある「編集(鉛筆)」アイコンをクリックして、「編集」ページを開きます。
  4. 「サポート」フィールドに、次のサポートオプションを追加します。
    FolderMapping="^移行元フォルダー->移行先フォルダー" 「移行元フォルダー」と「移行先フォルダー」の部分を、移行元および移行先環境のフォルダー名にそれぞれ置き換えてください。
  5. +」記号をクリックすると、新しい行が表示され、追加のフォルダーマッピングを設定することができます。
  6. アイテムを保存(Save Item)」をクリックします。

フォルダーマッピングの例

フォルダーマッピングの設定例とその動作、およびそれらに関する特記事項を以下に示します。

  1. FolderMapping="^送信済みメール->送信済みアイテム" 「送信済みメール」フォルダーを「送信済みアイテム」という名前のフォルダーにマップします。 
  2. FolderMapping="^受信トレイ->管理フォルダー" 「受信トレイ」フォルダーを「管理フォルダー」という名前のフォルダーにマップします。
  3. FolderMapping="^.*$->移行先フォルダー" 移行元のすべてのフォルダー内のすべてのファイルを、移行先の単一のフォルダーにマップします。「移行先フォルダー」の部分を、移行先環境のフォルダー名に置き換えてください。
    • 「^.*$」は、 「すべて選択」の正規表現です。「^」は文字列の先頭にマッチ、「.*」は任意の文字、「$」は文字列の末尾にマッチ、を意味します。 
  4. FolderMapping="^Documents->Documents/移行先フォルダー" 移行するすべてのアイテムを指定された移行先フォルダーにマップします。このフォルダーは、OneDrive内で最上位フォルダーとして表示されます。
    • 「移行先フォルダー」の部分を、移行先環境のフォルダー名に置き換えてください。 
    • OneDriveには、「Documents」という名前の非表示のルートフォルダーが存在します。 
  5. FolderMapping="^->移行先フォルダー/" ルートレベルを含むすべてのアイテムを、フォルダー階層を維持しながら、移行先の単一のフォルダーにマップします。
    • 「移行先フォルダー」の部分を、移行先環境のフォルダー名に置き換えてください。
    • フォルダー名の末尾には、必ず/(スラッシュ)を付けてください。「/」を追加すると、MigrationWizは、その移行先フォルダーの配下に新しいサブフォルダーを作成します。 
    • 通常のフォルダーだけではなく、システムフォルダー(Googleドライブの「Permissions」フォルダーなど)もマップされるため、注意してください。
    • 警告: メールボックスを特定の移行先フォルダーに移行する場合、この設定を行うと、移行の順序によっては、フォルダーが非表示となり、アクセスできなくなる可能性があります。  1種類のフォルダーのみを移行する場合を除いては、以下の「メールボックスを単一のサブフォルダーに移行する」で説明されているフォルダーマッピング形式を使用してください。
  6. FolderMapping="^Floor 5-A5-8-T4-\(AV\+TC\)->予定表" 「Floor 5-A5-8-T4-(AV+TC)」フォルダーを「予定表」フォルダーにマップします。「->」の左側の部分は正規表現であるため、特殊文字をエスケープする必要があります。
    • 上の例では、特殊文字の前に「\」(バックスラッシュ)を付けて、特殊文字をエスケープしています。

ドキュメント移行

  • SharePointへの移行:(移行先のドキュメントライブラリ名が「Shared Documents」ではない場合は、移行先の正しいドキュメントライブラリ名に置き換えてください。)

FolderMapping="^Shared Documents->Shared Documents/移行先フォルダー"

  • OneDriveへの移行:

FolderMapping="^Documents->Documents/移行先フォルダー"

  • Googleドライブへの移行:

FolderMapping="^My Drive->My Drive/移行先フォルダー"

メールボックスを単一のサブフォルダーに移行する

移行元メールボックスを移行先メールボックスの単一のサブフォルダーに移行することは可能ですが、「連絡先」フォルダーと「予定表」フォルダーは、ルートの「連絡先」および「予定表」フォルダーの配下にそれぞれ配置する必要があります。

次のフォルダーマッピングオプションを適用すると、これらのフォルダーを正しい場所に作成することができます:

1行目の入力例:

FolderMapping="^(?!予定表$|予定表/|連絡先$|連絡先/)->移行先フォルダー/"

2行目の入力例:

FolderMapping="^((予定表)([/]?)|(連絡先)([/]?))->$2$4/移行先フォルダー$3$5"

上の2つのサポートオプションは、プロジェクトの「詳細オプション(Advanced Options)」で、または個々のメールボックスの「編集」ページで追加します。

個々のメールボックスにサポートオプションを追加するには、該当するメールアドレスの右端にある「鉛筆」アイコンをクリックします。  

「移行先フォルダー」の部分を、実際の移行先フォルダーの名前に置き換えてください。

重要:上記のフォルダーマッピングオプションは、上記の説明通りの順序で追加する必要があります。この順序通りに追加しないと、移行したメールボックスのコンテンツの一部が、移行先で非表示となり、アクセスできなくなる可能性があります。

「予定表」と「連絡先」の言語は、移行先メールボックスのフォルダー名の言語と同じである必要があります。たとえば、「予定表」はフランス語では「Calendrier」、「連絡先」はオランダ語では「Contactpersonen」になります。

フォルダーマッピングに関する追加情報

移行元のフォルダー名は、ユーザーインターフェースやOutlookで表示される名前と(APIレベルで)異なる場合があります。そのため、フォルダーマッピングを設定する際は、フォルダー名を正しい形式 で入力するよう特に注意してください (例:「[Gmail]/Sent」は「Sent」です)。

Regex Heroを使用して、正規表現コードをテストすることをお勧めします。

{%escape%}」は予約語であるため、フォルダーマッピングには使用しないでください。移行元のフォルダー名が{%escape%}」で終わる場合は、移行前にその名前を手動で変更する必要があります。

G Suite (Gmail API)の制限

G Suite (Gmail API)からG Suite (Gmail API)への移行のみ:

複数の移行元ラベルを移行先の単一のラベルにマップする場合は、移行を開始する前に、移行先に親ラベルを作成する必要があります。

例:3つの移行元ラベル(「ABC」、「PQR」、「XYZ」)を移行先の1つの親ラベル(「移行先ラベル」)にマップする場合、移行を実行する前に、移行先メールボックスに親ラベル(「移行先ラベル」)を作成する必要があります。

特殊文字をエスケープする

例:FolderMapping="^Floor 5-A5-8-T4-\(AV\+TC\)->予定表" 「Floor 5-A5-8-T4-(AV+TC)」フォルダーを「予定表」フォルダーにマップします。「->」の左側の部分は正規表現であるため、特殊文字をエスケープする必要があります。上の例では、特殊文字の前に「\」(バックスラッシュ)を付けて、特殊文字をエスケープしています。
 
エスケープする必要がある一般的な特殊文字と、それぞれの役割を、以下に示します。
  • 「^」は、文字列の先頭にマッチします。
  • 「$」は、文字列の末尾にマッチします。
  • 「{}」は、範囲の量指定子として使用されます。
  • 「()」は、文字をグループ化するために使用されます。
  • 「[]」は、1文字にマッチする文字クラスを作成するために使用されます。
  • 「.」は、改行以外の任意の文字にマッチします。
  • 「*」は、0回以上の繰り返しにマッチする量指定子です。
  • 「?」は、0回または1回の繰り返しにマッチする量指定子です。
  • 「|」は、 一連の選択肢を区切ります。
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