訴訟ホールドの移行

訴訟ホールドの移行は、いくつかの重要な既知の制限付きでサポートしています。

​訴訟ホールドでは、言うまでもなく100%の証拠保全が求められるため、これらの制限を把握しておくことが重要となります。

プライマリメールボックス内のすべてのメールが実際に移行されます。 MigrationWizでは、アーカイブメールボックスの訴訟ホールドデータは移行することができません。アーカイブメールボックスに訴訟ホールドデータがある場合は、プライマリメールボックスあるいは「回復可能なアイテム」領域のいずれかに移動する必要があります。

訴訟ホールドで作成されたフォルダーは、「メールフォルダー」と見なされますが、中には例外もあります。(メール以外の)特殊な訴訟ホールドアイテムは、EWSの既知の制限(MigrationWizでは、移行元がExchange 2007以降の場合の移行に、この制限が適用されます)により、すべてが移行に失敗します。

これらの特殊なアイテムの一部は、EWSによって誤ってメールフォルダーと見なされることがあります。この誤って認識されたフォルダー内にメール以外のアイテムを作成しようとすると、EWSのバグにより、「アイテムのタイプがフォルダーのタイプと一致しません」というエラーが表示されます。

たとえば、1件の連絡先が削除され、それが「パージ(/Purges)」フォルダーに格納されたとします。この連絡先を移行先のメールボックスの「パージ(/Purges)」フォルダーに移行しようとすると、エラーが発生します。

メールボックスの「回復可能なアイテム」領域にある既知のフォルダーは、次のとおりです:

  • バージョン(Versions):訴訟ホールド(あるいはインプレースホールドや単一アイテムの回復)が有効になっている場合、このサブフォルダーには、削除されたアイテムの元のコピーと変更されたコピーが格納されます。注:このフォルダーは、エンドユーザーには表示されません。
  • パージ(Purges):訴訟ホールド(あるいは単一アイテムの回復のいずれか)が有効になっている場合、このサブフォルダーには、物理的に削除されたすべてのアイテムが格納されます。注:このフォルダーは、エンドユーザーには表示されません。
  • 検索ホールド(Discovery Holds):インプレースホールドが有効になっている場合、このサブフォルダーには、ホールドのクエリパラメータに合致し、かつ物理的に削除されたすべてのアイテムが格納されます。
  • 監査(Audits):メールボックスのメールボックス監査ログが有効になっている場合、このサブフォルダーには、監査ログエントリが保存されます。このフォルダーは、MigrationWizでは移行されません。
  • カレンダーログ(Calendar Logging):このサブフォルダーには、メールボックス内で発生するカレンダーの変更が保存されます。ユーザーは、このフォルダーを利用することはできません。
  • 削除(Deletions):このサブフォルダーには、「削除済みアイテム」フォルダーから削除されたすべてのアイテムが格納されます。(Outlookでは、「Shift」キーを押しながら「Delete」キーを押すことで、アイテムを論理的に削除することができます。) このサブフォルダーは、OutlookおよびWeb版Outlookの「削除済みアイテムの回復」機能を使用すると、ユーザーに表示されるようになります。

上記のフォルダーは、デフォルトで移行先の「削除(Deletions)」フォルダーに移行されます。上記のフォルダー内のすべてのメールアイテムが移行されます。メール以外のアイテムは、MigrationWizポータルでエラーとして報告されますが、移行の完了を妨げることはありません。通常、訴訟ホールドの移行実行時に新たに発生するエラーはごくわずかであるため(実際、これらのフォルダー内のほとんどのアイテムがメールアイテムであるため)、エラー数のしきい値を調整する必要はありません。

移行プロセスでは、フォルダーの検索および各フォルダー内のアイテムの取得が行われます。アイテムの取得に失敗しても、そのフォルダーが移行対象から除外されるため、移行は続行されます。

メールボックスの「回復可能なアイテム」領域にあるフォルダーを、移行先で「削除(Deletions)」フォルダーではなく対応する各フォルダーに移行したい場合は、移行を実行する前に、(「サポート(Support)」セクションの下にある)「詳細オプション(Advanced Options)」のOverrideRecoverableItemsFolderMapping="^SourceFolder->DestinationFolder"を、プロジェクトに追加する必要があります。

たとえば、以下のすべての「詳細オプション(Advanced Options)」を追加して、移行元のフォルダーを移行先の該当するフォルダーに移行します。

OverrideRecoverableItemsFolderMapping="^Calendar Logging->Calendar Logging"
OverrideRecoverableItemsFolderMapping="^Deletions->Deletions"
OverrideRecoverableItemsFolderMapping="^DiscoveryHolds->DiscoveryHolds"
OverrideRecoverableItemsFolderMapping="^Purges->Purges"
OverrideRecoverableItemsFolderMapping="^Versions->Versions"

 

訴訟ホールドを設定したメールボックスを含む移行を実行するための、段階的な推奨手順を以下に示します:

  1. 通常のメールボックスプロジェクトを作成し(Create a Mailbox Project)、「詳細オプション(Advanced Options)」を設定して、メールボックスの移行を実行します。適切なシナリオの実行については、移行ガイドの指示に従ってください。すべての移行ガイドが、BitTitanヘルプセンターのMigrationWizカテゴリーに掲載されています。
  2. メールボックスの移行が完了したら、訴訟ホールド専用の新しいメールボックスプロジェクトを作成します(Create a Mailbox Project)。
  3. この訴訟ホールドプロジェクトに、プロジェクトの「詳細オプション(Advanced Options)」を設定します。移行元(移行するデータがある元の場所)のパラメータを「回復可能なアイテム」領域に設定します。 これにより、自動的に移行先(データを移行する場所)のパラメータが「回復可能なアイテム」領域に設定されます。
  4. 通常のメールボックスプロジェクトのダッシュボードに戻り、移行が完了したアイテムを選択して、それらを訴訟ホールドプロジェクトに移動します。
  5. 訴訟ホールドプロジェクトで、アイテムの移行を実行します。これにより、移行元の「回復可能なアイテム」フォルダーのすべてのアイテムが、移行先の「回復可能なアイテム」フォルダーに移行されます。
  6. 移行が完了したら、アイテムを通常のメールボックスプロジェクトに戻します。
  7. すべてのメールが移行されます。
  8. ユーザーに表示されないアイテムは、移行後も非表示のままとなります。
  9. メールボックスの移行では、メールボックスごとに最大10サイクルまでの移行が可能です。訴訟ホールドプロジェクトでのメールボックスの移行は、アイテムをプロジェクト間で移動させた場合、追加のライセンスが消費されることはありません。
  10. 訴訟ホールドプロジェクトには、新しいメールボックスは追加しないでください。追加するのではなく、他のプロジェクトから訴訟ホールドプロジェクトにアイテムを移動します。これにより、すべてのプロジェクトの統計情報とライセンス履歴が変更されずに維持されます。
  11. 「回復可能なアイテム」フォルダーを移行する際は、削除済みアイテムフォルダーの保持期間を長くすることをお勧めします。デフォルトの保持期間は14日間です。この保持期間を最大の30日間に増やすことをお勧めします。この手順は、次のTechNetの記事に記載されています:https://technet.microsoft.com/en-us/library/dn163584(v=exchg.150).asp

 

非アクティブなユーザーの訴訟ホールドデータの移行

MigrationWiz®では、非アクティブなユーザーの訴訟ホールドデータを含むメールボックスは、デフォルトでは移行されない設定になっています。非アクティブなユーザーは、移行先システムでライセンスの付与を受けられないことから、メールボックスが作成されず、保持されているアイテムの移行場所を確保することができないからです。

移行に特別な設定を行うと、これらの保持されているメールボックスを移行することが可能になります。以下の手順に従ってプロジェクトを作成すると、Office 365の非アクティブなユーザーの訴訟ホールドデータを
Office 365テナントに移行することができます:

  1. すべての非アクティブなメールボックスを検索します。以下のPowershellコマンドを使用して検索を実行します。
    Get-Mailbox -InactiveMailboxOnly -ResultSize Unlimited
  2. 非アクティブなユーザーをクイック追加(Quick Add)で個別に、あるいはCSVファイルを使用した一括追加(Bulk Add)で、MSPCompleteに追加します。 
  3. 移行先のOffice 365テナントにターゲットのメールボックスを作成します。
  4. Office 365に新たに作成したメールボックスにライセンスを割り当てます。(最低でもE3ライセンスが必要です。)
  5. 新しいメールボックスに訴訟ホールドを設定します。
  6. すべての新しいメールボックスを非アクティブに設定します。すると、これらのメールボックスからOffice 365ライセンスが削除されます。
  7. 新しいMigrationWizメールボックスプロジェクトを作成します(Create a Mailbox Project)。
  8. 「テナントからテナントへの併用設定を有効化する(Enable Tenant to Tenant Coexistence)」のチェックボックスをオフにします。
  9. 保存して概要へ移動」をクリックします。
  10. 非アクティブなユーザーのメールアドレスをプロジェクトに追加します。移行元のメールアドレスは、非アクティブなメールボックスのUPNと同じでなければなりません。移行先のメールアドレスは、前述のステップで新たに作成したメールアドレスになります。 
  11. プロジェクトが作成されたら、「プロジェクトの編集(Edit Project)」をクリックして、「詳細オプション(Advanced Options)」を選択します。
  12. 移行元セクションと移行先セクションの両方で、「回復可能なアイテム(Recoverable Items)」をクリックします。
  13. 保存(Save)」をクリックします。

これで、移行を実行する準備が整いました。お客様のシナリオによっては、追加の設定が必要になる場合もありますが、非アクティブなユーザーのメールボックスを移行するための設定は、これで完了です。

この移行が失敗した場合は、「回復可能なアイテム」の移行を再試行する前に、非アクティブなメールボックスを回復してください。  次のMicrosoftのドキュメントの手順に従って、メールボックスを回復します:Office 365で非アクティブなメールボックスを回復する メールボックスが回復したら、移行を再実行します。

 

訴訟ホールドとインプレースホールド

訴訟ホールドの移行は、法的な審査に備えるために、ユーザーのメールボックス全体を保持します。

インプレースホールドの移行は、ユーザーのメールボックスのサブセットを保持し、特定の種類のメールのみを保持します。

これら2種類の移行の唯一の違いは、クエリです。訴訟ホールドを有効にすると、削除あるいは変更されたすべてのアイテムを保持することができます。インプレースホールドの設定は、訴訟ホールドの設定とほぼ同じですが、フィルタークエリを追加して、特定の種類のメールのみを保持するようにします。

訴訟ホールドは、次のように機能します:

通常の削除済みアイテムのワークフローでは、ユーザーがメールボックスアイテムを完全に削除するか、削除済みアイテムフォルダーから削除すると、そのメールボックスアイテムは、「回復可能なアイテム」フォルダー内の「削除(Deletions)」サブフォルダーに移動します。削除ポリシー(削除保持アクションで構成された保持タグ)を適用した場合も、保持期間が終了すると、アイテムは「削除(Deletions)」サブフォルダーに移動します。ユーザーが「回復可能なアイテム」フォルダー内のアイテムをパージするか、削除済みアイテムの保持期間が終了すると、そのアイテムは「回復可能なアイテム」フォルダー内の「パージ(Purges)」サブフォルダーに移動し、完全削除のマークが付けられます。そのアイテムは、次にメールボックスが管理フォルダーアシスタント(MFA)によって処理される時に、Exchangeから消去されます。

メールボックスが訴訟ホールドに配置されると、「パージ(Purges)」サブフォルダー内のアイテムは、訴訟ホールドで指定された保持期間の間、保持されます。保持期間は、アイテムが初めて受信または作成された日から起算され、「パージ(Purges)」サブフォルダー内のアイテムが保持される日数を定義します。「パージ(Purges)」サブフォルダー内のアイテムの保持期間が終了すると、そのアイテムには完全削除のマークが付けられ、次にメールボックスがMFAによって処理される時に、Exchangeから消去されます。  メールボックスに無期限の保持が設定されている場合、アイテムは「パージ(Purges)」サブフォルダーから消去されることはありません。

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