MigrationWiz:移行プロセス

次の記事は、移行のスケジュール、延期、停止、開始に関する質問への回答です。また、アイテムの移行順序、予想される速度、プログレスバー、その他の一般的なMigrationWizのプロセスに関する質問について説明しています。

移行は種類によって異なりますが(ドキュメントとメールボックス、または異なる移行元と移行先)、一般的な移行フローは一貫しています。お客様のシナリオに応じた具体的な手順や説明はそれぞれの移行ガイドで提供されていますが、全体的なプロセスの流れは、通常、以下のようになります。

  1. 移行元環境の準備
  2. 移行先環境の準備
  3. MigrationWizでのプロジェクト作成
  4. アイテムの追加
  5. 詳細オプションの設定(移行ガイドを参照)
  6. 資格情報の検証
  7. 移行の実行
  8. 移行後の手順(移行ガイドを参照)

これらの手順には、ライセンスの購入、ユーザーへの通知、シナリオに必要なデータのカスタマイズが含まれます。詳細な手順、方法、説明、および各種資料については各移行ガイドを参照してください。 

移行の管理

次のセクションでは、移行の開始、停止、スケジュール、および延期の概要と、移行プロセスの実行手順について説明します。ここで説明している手順は一般的な内容です。具体的な移行方法については、移行ガイドを参照してください。

移行の段階

移行プロジェクトの作成と事前設定が完了すると、MigrationWizは5つの移行オプションを提供します。

これら5つのオプションによって、接続のテストと検証を行い、段階的または1回のサイクルで移行を完了し、最初の移行で失敗した可能性のある移行アイテムを取得して移行することができます。

以下はそれぞれの移行オプションについての説明です。

  1. 資格情報の検証(Verify Credentials): このプロセスは、移行のための資格情報を移行元と移行先で検証します。資格情報の検証では、データの移行やライセンスの消費は行われません。このプロセスで実行される処理は次のとおりです。
    • 移行元にメールボックスがあるか確認します。
    • 移行元で管理者の資格情報(プロジェクトの作成時に入力したもの)を使用している場合、資格情報を確認します。
    • 移行元で管理者の資格情報を使用せず、メールボックスごとにユーザーの資格情報を使用している場合、資格情報の検証を行います。
    • 移行先にメールボックスがあるか確認します。
    • 移行先で管理者の資格情報(プロジェクトの作成時に入力したもの)を使用している場合、資格情報を確認します。
    • 移行先で管理者の資格情報を使用せず、メールボックスごとにユーザーの資格情報使用する場合、資格情報の検証を行います。
  2. トライアル移行(Trial Migration): トライアル移行では、少量のデータを移行することで、プロジェクトの作成およびメールボックスの入力が正しく行われているかをテストします。 無料で何度でも実行できます。トライアル移行は以下を実行します。
    • トライアル移行は、移行元と移行先の両方で資格情報を検証します。
    • メールボックスのトライアル移行では、移行元で定義された内容に基づき、移行先でフォルダー階層全体を再作成します。
    • トライアル移行では、フォルダーごとに最大10アイテム、合計5MBまでのデータのみを移行します。
      重要:パブリックフォルダーのトライアル移行では、現在のフォルダーのみを移行し、サブフォルダーはスキャンしません。データは移行されず、エラーメッセージも表示されません。このため、パブリックフォルダーでのトライアル移行では、「成功(Success)」のメッセージが表示されます。
  3. 前段階移行(Pre-Stage Migration): 前段階移行では、選択した前段階移行設定の定義により、移行先メールボックスにメールのみのアイテムが事前移行されます。一般的に、前段階移行はマルチサイクル移行戦略の一部です。MXレコードのカットオーバー前に、エンドユーザーが古いメールシステムを使用している間に実行されるため、新しい移行先メールボックスに大部分のデータを事前移行する最適な方法です。エンドユーザーに影響を与えることなく、MXレコードのカットオーバー前に大半のデータの移行を可能にする強く推奨される戦略です。通常、3ケ月以上前のメールのみのアイテムは変更の可能性が低いため、前段階移行に含まれます。
    • 前段階移行を実行するにあたって、MigrationWizは移行ソリューションで、同期ソリューションではないことを理解しておくことが重要です。 このため、最初の移行サイクルで移行されたアイテムの更新、削除、または移動は反映されません。MigrationWizには(同期エージェントのような)「ライブ」での変更のモニタリング機能がないため、ユーザーの操作なしに競合解決などの処理はできません。
    • 既に移行先に移行したアイテムがある場合、「完全(差分)移行(Full (Delta) Migration)」サイクル後の動作は次のようになります。
      • 移行元での削除: 削除されたアイテムは、移行先に残ります。削除を反映することはできません。(例えば、移行元でアイテムがアーカイブされた場合、削除されたように見えますが、移行先でアイテムを削除することはできません。)
      • フォルダーAから別のフォルダーBへの移動: アイテムは、移行先のフォルダーAとフォルダーBの両方に重複して存在します。
      • 移行元での更新: アイテムは、移行先では更新されません。カレンダー、連絡先、タスクなどを更新するプロセスはありません。そのため競合解決が必要になりますが、それは同期ソリューションでのみ可能になります。代わりにMigrationWizは、移行されたすべてのアイテムにウォーターマークを入れ、移行のサイクルでアイテムの再移行を行わないようにします。
      • マルチサイクル移行戦略を実行する手順は一般的には次のようになります。
        • 最初のサイクル(前段階(Pre-Stage)):3ヶ月以上前のメールのみ移行します。前段階移行は、MXレコードのカットオーバーの1、2週間前に実行します。(回数は、移行されるメールボックスの数やサイズによって異なります。)MXレコードのカットオーバーを実行します。
        • 2回目のサイクル(完全移行(FullまたはDelta)):日付フィルターなしで、すべてのアイテムを移行します。このサイクルは、TTLの期限切れ後に実行します。
          注: 新システムでDNSのMXレコードを変更後、有効になるまで時間を要するため、レプリケーションの遅延が発生する場合があります。TTL(別名:Time To Live)が期限切れになるのを待ちます。
        • 任意の3回目のサイクル(完全移行(FullまたはDelta)):日付フィルターなしで、すべてのアイテムを移行します。このサイクルは、MXレコードのカットオーバーの2、3日後に実行します。これにより、DNSのインターネット伝搬の遅延が原因で、MXレコードのカットオーバー後に古いメールシステムに配信された残存メールを取得します。
  4. 完全/差分移行(Full/Delta Migration): 完全/差分移行のMigrationWizの設定は同じです。どちらの移行タイプにも、日付フィルターはなくすべてのアイテムが移行されます。
    • 「完全移行(Full Migration)」は、すべてを1回で移行します。 例えば、シングルサイクル移行(ビッグバン (Big Bang) )戦略では、MXレコードのカットオーバー後、メールボックス全体を1回のサイクルで移行します。一般的なシナリオでは、金曜日の夜にカットオーバーし、週末に移行を実行します。
    • 「差分移行(Delta Migration)」は、「前段階移行(Pre-Stage Migration)」の後に実行される、マルチサイクル移行戦略の一部です。これにより、メールボックスを再送信して差分移行サイクルを実行することが可能です。MigrationWizは、最初のサイクル以降にまだ移行されていないアイテムを自動的に検出して移行します。言い換えると、差分サイクルは未処理のアイテムを検出して移行します。多くの場合、差分サイクルは最初のサイクルより高速で完了します。 差分サイクルでは、MigrationWizは移行の中断箇所から移行を継続するため、移行先で重複が発生しません。つまり、最初のサイクルで移行されなかったアイテム、または最初のサイクルの実行中または後に作成されたすべてのアイテムを移行します。
  5. エラーの再試行(Retry Errors): 以前に移行に失敗したアイテムの移行を再試行します。正常に移行されたアイテムは移行されません。ライセンスは消費しません。エラーの再試行モードでメールボックスを移行するには、次の2つの条件を満たす必要があります。
    • 直前の移行が正常に完了した。
    • メールボックスに1つ以上のエラーが含まれている。

移行の開始

MigrationWizインターフェイスからの移行:

  1. 実行したいプロジェクトの名前をクリックします。
  2. アイテム名の横にあるチェックボックスをオンにして、移行するアイテムを1つ以上選択します。すべてのアイテムを選択する場合は、「移行元メールアドレス(Source Email)」の左側にあるチェックボックスをオンにします。
  3. 移行を開始(Start)」ボタンをクリックして、実行する移行タイプを選択します。
    • 完全(Full) - ライセンスが必要。この移行では、識別され、サポートされているすべてのアイテムが移行されます。  
    • 前段階(Pre-Stage) - ライセンスが必要。この移行では、移行の設定日前にすべてのサポートされた特定のアイテムを移行します。  メールボックス移行では、メールアイテムのみが移行されます。  この移行戦略には、適切な種類のライセンスが必要です。
    • トライアル(Trial)-無料の移行サイクル。この移行は、移行サーバーをテストするためのものです。  フォルダーごとに最大10個のアイテム、またはメールボックスごとに最大5MBのデータが移行されます。ライセンスを消費する「完全移行(Full Migration)」では、トライアルが中断した箇所から移行が再開されます。 
    • 資格情報の検証(Verify Credentials)-無料の移行サイクル。この移行は、移行で正しい資格情報が使用されているかを確認、検証して接続を成功させます。データは移行されません。
    • エラーの再試行(Retry Errors)-無料の移行サイクル。「完全移行(Full Migration)」または「前段階移行(Pre-Stage Migration)」の成功後にエラーの再試行を実行して、移行に失敗したアイテムのみを再移行することができます。
  4. 移行を後日開始するように設定する場合は、「移行のスケジューリング」セクションで、「移行の自動開始スケジュール(Automatically start the migration at)」のチェックボックスをオンにして、移行を開始する日時を入力します。 移行をすぐに開始する場合は、スケジュールを設定する必要はありません。
  5. 移行を開始(Start Migration)」をクリックします。

移行を開始する前に、必要に応じて適切なライセンスを購入する必要があります。移行をカスタマイズするには「詳細オプション(Advanced Options)」を選択します。手順の詳細については移行ガイドを参照してください。 

重要:パブリックフォルダーを移行する際、トライアル移行は現在のフォルダーのみをスキャンし、サブフォルダーはスキャンしません。  データは移行されず、エラーメッセージも表示されません。  接続エラーが発生しない限り、パブリックフォルダーのトライアル移行では「完了(Completed)」ステータスが表示されます。

移行のスケジュール

指定した時間に移行を開始するようスケジュールすることができます。移行を停止または一時停止するように時間をスケジュールするオプションはありません。

移行の開始日時を変更する場合は、移行を一旦停止し、別の日時を設定して再度移行を開始します。停止には時間がかかります。再開できる状態になるまで「中断処理中(Pausing)」の状態が続くので注意が必要です。ステータスが「中断処理中(Pausing)」から「中断(Paused)」になると、移行を再開できます。

帯域幅使用量に懸念がある場合は、プロジェクト内で同時に移行するメールボックスの数を指定することが可能です。 MigrationWizは、1つのメールボックスごとに1つの接続のみ行います。したがって、コネクタの同時実行数を低く設定すると帯域幅の使用量を制御するのに効果的です。MigrationWizは、他の移行が完了すると、自動的に新しい移行を開始します。

移行の延期

MigrationWizインターフェイスからの移行:

  1. プロジェクトを開き、開始を延期したいアイテムを選択します。
  2. 移行を開始(Start)」ボタンをクリックします。
  3. ドロップダウンリストから、「前段階移行(Pre-Stage Migration)」または「完全移行(Full Migration)」のいずれかを選択します。
  4. 次のチェックボックスをオンにします。 「移行の自動開始スケジュール(Automatically start the migration at)」
  5. 移行を開始する日時を選択します。
  6. 移行を開始(Start Migration)」をクリックします。

移行するアイテムの「開始の延期(delayed start)」を停止するには、ユーザーを選択し「移行を中断」をクリックします。ステータスが「中断処理中(Pausing)」から「中断(Paused)」に変わった後、必要に応じて移行するアイテムを再送信します。これは、サイズの大きなアイテムや移行元でまだ使用されているアイテムに対して有効です。

移行の停止

処理中の移行はいつでも停止(中断)できます。 

停止するには、現在移行中の状態でなければならないため、移行が「送信済み(Submitted)」ステータスの場合は、開始されるのを待つ必要があります。「送信済み(Submitted)」の状態で移行を停止しようとすると、警告が表示され、リクエストは取り消されます。移行を停止(中断)するには、移行が開始するまで数分待ちます。

現在移行中の1つ以上のメールボックスを停止するには:

  1. プロジェクトを開きます。
  2. 停止するメールボックスを選択します。
  3. 移行を中断」ボタンをクリックします。

中断のリクエストを取得した後、数分以内に移行サーバーは移行を停止します。

移行の再開

メールボックスが停止したり、エラーを修正した後に移行を再開する必要がある場合があります。移行が、移行中(中断(Paused)、失敗(Failed)、完了(Completed))のステータスであり、送信済み(Submitted)や待機中(Queued)のステータスを示していない必要があります。 

メールボックスが中断(Paused)、失敗(Failed)、完了(Completed)のいずれかのステータスである場合、次の手順で移行を再開することができます。

  1. 再開したいメールボックス(1つ以上)を選択します。
  2. 移行を開始(Start)」ボタンをクリックします。
  3. メールボックスの移行サイクルを選択して送信します。

設定の検証

データの移行やライセンスの消費を行うことなく、メールボックスの資格情報を検証することができます。

  1. 検証するアイテムを含むプロジェクトを開きます。
  2. 検証したいメールボックスを選択します。
  3. ダッシュボードの「移行を開始(Start)」ボタンをクリックします。
  4. ドロップダウンリストから、「資格情報の検証(Verify Credentials)」を選択します。

検証が完了すると、検証結果が「ステータス(Status)」セクションに表示されます。

MigrationWizの処理に関するよくある質問

移行を2回以上送信する

MigrationWizは、移行したアイテムを重複して移行することがないように設計されています。移行を繰り返し送信しても、重複は発生しません。

重複が発生した場合は、以下のシナリオのいずれかが原因である可能性があります。

  1. プロジェクトの設定で、「移行先で重複を検索しません(Do not search Destination for duplicates)」オプションを選択した場合。このオプションは、重複検出を無効にします。
  2. MigrationWizを使用する前に、サードパーティ製のツールを使用して、移行を実行した場合。サードパーティ製のツールで移行されたデータの重複チェックは行いません。
  3. 送信元メールボックスに重複したアイテムがある場合。送信元のメールボックスに含まれるデータは、送信先のメールボックスに反映されます。
  4. 移行元への接続でコネクタが使用するプロトコルを変更した場合(例:IMAPからExchange)。この場合、重複を防ぐことはできません。
  5. 送信元メールボックスから送信先メールボックスにメールを転送している場合。この場合、「転送されたアイテム」と「移行されたアイテム」の2つのコピーが作成されます。 
  6. 重複検出を行わずに、特定のオプションを有効にして強制的に再移行を実行した場合 等。

フォルダーの処理順序

MigrationWizは、アイテムクラスに基づいてフォルダーを処理します。順序は次のとおりです。 
  1. カレンダー
  2. 連絡先
  3. メール
  4. ジャーナル
  5. メモ
  6. タスク
  7. ルール
  8. ドキュメントファイル
  9. セキュリティグループ
  10. 権限レベル
  11. ドキュメントライブラリの権限
  12. 権限

移行元環境によっては、フォルダーのクラスが存在しない場合があります。例えば、ドキュメントのみを移行する場合、メールやメール関連のアイテムは移行されません。

メールフォルダーの順序は、送信元環境から返される順序で決まります。

プログレスバー(Progress Bar)

プログレスバーの長さは、これまでに処理されたフォルダーの数を示します。通常、フォルダー内のファイル容量はフォルダーごとに異なるため、プログレスバーの長さが処理されたアイテム合計に対する割合になるとは限りません。移行しているフォルダー内のファイル容量が非常に大きい場合、プログレスバーは長時間同じ長さで「停止」した状態になることがあります。

数値(例:112.18MB)は、これまでに転送されたデータ量を示しています。 この数値は、転送されたデータ量の合計を示しているため常に上昇しますが、プログレスバーの長さとは関係がありません。

各メールボックスの移行進行状況統計の詳細にアクセスするには、以下の手順に従ってください。

  1. 詳細を確認したいアイテムのステータスをクリックします。

移行速度

メールボックスの移行速度と帯域幅テストの結果は、性質が異なるので単純に比較することはできません。ネットワーク速度のテストでは、メモリ上にランダムバイトを生成し、そのデータの転送速度をチェックします。速度テストでは、データの変換、データの暗号化、データの解析、データの変換、データのインデックス作成、ディスクからのデータの読み込み、ディスクへのデータの書き込み、ユーザー認証は行いません。

メールボックスのデータはディスクに保存されます。メールボックスのデータを取得する場合、ディスクから読み込む必要があります。メールボックスのデータを書き込む際には、ディスクにコミットする必要があります。メールボックスのデータにアクセスするには、アクセスするユーザーの確認と認証が必要です。データを書き込む際、インデックスが作成される場合があります。また、メールボックスのデータは、多くの場合システム間で変換する必要があります。

一般的に、メールボックスのデータは、転送時に暗号化されます。ネットワークでメールボックスのデータを転送するには、プロトコルパケットにカプセル化する必要があります。メールボックスのデータは、データに有効なMIMEが含まれているか、ウイルスが含まれているか、スパムに分類するべきかどうかなどを解析する必要があります。メールボックスのデータには、分析および保存を必要とする数百のプロパティが含まれる場合があります。

MigrationWizは、メールボックスごとに1つの接続のみ行います。これにより、多数のメールボックスの同時接続が可能になります。速度テストは、ランダムバイトのストリームを並列にプッシュし、帯域幅全体を満たします。接続速度が速いと、移行の速度も上がるため、ネットワークの速度は、移行速度に影響を及ぼす多くの要因のうちの1つです。

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