はじめに
本ドキュメントは、オンプレミスのExchange 2003 サーバーからOffice 365にメールボックスを移行する手順を記します。
表記されている順序に従い、各ステップを完了してください。関連するナレッジベース記事へのリンクが提供されています。
HealthCheck for Office 365を使用して、エンドユーザーのハードウェアとソフトウェアがOffice 365に対応している事を事前に確認することを強くお勧めします。
- 注: HealthCheck for Office 365は無料のユーティリティです。
また、この移行シナリオでは、DeploymentProを使用してOutlookプロファイルを再構成することを強くお勧めします。
- 注: DeploymentProは、UMB(User Migration Bundle)ライセンスに含まれています。DeploymentProはスタンドアロンサービスライセンスとして購入することはできず、一回用メールボックス移行ライセンスに追加することもできません。移行後にDeploymentProを使用してOutlookメールプロファイルをリモートで構成する場合は、UMB(ユーザー移行バンドル)ライセンスを購入してください。
MigrationWizは同期ソリューションではなく、移行ソリューションであるため、以前に実行された移行サイクルで移行されたアイテムの更新、削除、または移動を追跡しません。これは、MigrationWizには(同期エージェントのように)「ライブ」での変更のモニタリング機能はなく、ユーザーの操作なしに競合解決などを処理することができないためです。移行中、もしくは移行後に手動で移動されたドキュメントは、新しいアイテムとして扱われ、移行先に重複してコピーされます。
MigrationWizは、ワークグループをまたがって、移行プロジェクトを共有する機能をサポートしています。プロジェクト共有機能をオンにすると、非アクティブなエージェント以外のすべてのエージェントに、全ての移行プロジェクトが表示されます。詳細については、MigrationWizの「プロジェクト共有 (Project Sharing)」をご覧ください。
移行元環境を準備する
- 移行元のExchangeメールボックスサーバーに移行用の管理者アカウントをセットアップします。
- メールボックスへのアクセスをテストします。
- Exchange認証方法を設定します。
- MAPI名前付きプロパティの制限を増やします。
移行先環境を準備する
- 移行に使用する管理者アカウントをOffice 365で作成するか、テナントのグローバル管理者アカウントを使用します。
- Office 365でアカウントをセットアップし、ライセンスを割り当てます。これにはいくつかの方法があります。
- 手動で、1つずつ。
- CSVファイルを使用した一括インポート。 マイクロソフトのインストラクション
- PowerShellスクリプトを使用。 TechNetの記事
- DirSync、AAD Sync、またはAAD Connectを使用。同期作業の実施にあたっては、本重要ナレッジベースをご一読のうえ作業をお願い致します。
- 大きなメールアイテムを送受信するためにテナントを準備します。
MigrationWizの手順
- メールボックス移行プロジェクトを作成します(Create a Mailbox Project)。
- プロジェクトに移行するアカウント(「アイテム」とも呼称します)を追加します。
- プロジェクトの詳細オプション(Advanced Options)を設定します。
- 移行先で偽装(impersonation)を使用するように設定します。「移行先で偽装を使用する(Use Impersonation at Destination」チェックボックスにチェックを入れます。
- この移行シナリオでは、次のオプションが最も有用です。
- 最大同時移行数を設定します。移行元サーバーがExchange 2003である場合、移行元サーバーでリソースが不足しないように、この数値を低い値に設定することが重要です。安全な数値として、これを最初に5に設定することをお勧めします。つまり、すべてのメールボックスが選択されて移行が開始されると、リスト内の最初の5つのメールボックスのみが(並列処理を使用して)移行され、5つの最初のメールボックスが完了すると、リストの次のメールボックスの移行を開始します。このようにリストの最後まで進み、すべてのメールボックスの移行が完了します。移行元のサーバーに十分なリソースがある場合は、1Mbpsあたり3個のメールボックスの同時移行を目処にこのパラメーターを設定します。例えば、回線容量が10Mbpsの場合、最大同時移行数を30に設定することをお勧めします。
- 資格情報の検証(Verify Credentials)を実行します。
- 移行が行われることをユーザーに通知します。すべてのユーザーに移行の日時を通知するメールを送ります。
- 前段階移行(Pre-Stage)サイクル:ユーザーを選択し、上部の「開始(Start)」ボタンをクリックし、「前段階移行(Pre-Stage Migration)」を選択します。「移行のスケジューリング」セクションのドロップダウンリストから、「90日前(90 Days Ago)」を選択し、「移行を開始」をクリックします。
- MXレコードのカットオーバー。DNSプロバイダーのポータルでMXレコードを切り替えます。また、AutoDiscover(CName)設定を含めます。
- メールの転送設定を行います
- Office 365でメールルーティングを設定します。
注: 数回の移行サイクルに分けて移行、かつ併用が必要な場合、最終サイクルの移行が終了するまでMXレコードをカットオーバーせず、2つの追加手順を実行する必要があります。
- エンドユーザーにメールを送信し、Outlookプロファイルの再構成に関して操作があることを知らせます。
- 完全移行(デルタ)サイクル:ユーザーを選択し、上部の「開始(Start)」ボタンをクリックして、「完全移行(Full Migration)」を選択し、「移行を開始」をクリックします。
- エラーの再試行(Retry Errors)を実行します。
- ユーザーリストを確認し、赤い「移行に失敗しました」エラーをクリックします。表示された情報に従って操作してください。
- 問題が解決しない場合は、サポートにお問い合わせください。
- DeploymentProを使用していない場合、ユーザーは新しいOutlookプロファイルを作成し、再度署名を設定した上、以前のプロファイルに添付されていたPSTファイルを再添付する必要があります。
- MigrationWizダッシュボードの「円グラフアイコン」をクリックすると、プロジェクトから全ての移行統計情報をメールで受信できます。