はじめに
Google Vaultの移行を成功させる秘訣は、GoogleVaultから抽出するデータを適切に識別することです。Google Vaultからデータを取得するには、対象データを検索し、検索結果をエクスポートする必要があります。必要なデータをエクスポートするには、検索する内容が重要です。 データを適切に検索するには、Google検索用語を使用して必要なデータを絞り込む必要があります。BitTitan Google Vault Extractorは、プログラムによって自動的かつ大規模に検索し、結果のエクスポートおよびダウンロードを行います。
抽出プロセス
Google Vaultの抽出は、BitTitan Google Vault Extractorがユーザーのリストに基づいて作成した案件により機能します 。 案件が作成されると、指定した用語に基づいて、Googleに検索するように指示します。次に、GoogleはVaultを検索し、準備とエクスポートを行います。検索中、Googleがエクスポートにより返送するアイテムの数を予測し、ログに記録します。BitTitan Google Vault Extractorは、Googleがエクスポートの結果をダウンロードする準備ができたら、自動的にダウンロードします。 ダウンロードされたエクスポートの結果は、AzureBLOBにアップロードすることが可能になるまで、ローカルのエクスポートサーバーに保存されます。BitTitan Google VaultExtractorは、順次Googleからダウンロードし、Azureにアップロードするように設定することができます。 エクストラクターがGoogleからダウンロードするファイルは、データを含む圧縮されたzipフォルダーとXMLファイルの2つです。また、抽出が成功したことを示す.doneファイルも作成します。エクストラクターが失敗すると、ユーザーの.failファイルを作成します。
MigrationWizがファイルを読み取り、Office365メールボックスへのデータの移行を開始するには、エクスポートの結果をAzureにアップロードする必要があります。 Google Vaultはコンプライアンスシステムであり、アーカイブではないため、一般的なデータの移行先は、ユーザーのプライマリメールボックスの「回復可能なアイテム」フォルダーとなります。コンテンツの移行前に、ユーザーメールボックスを訴訟ホールドに配置することが不可欠です。
Google Vaultからの移行手順は、次の3つです。
- GoogleVaultからエクスポートするデータを識別します。
a.完全なエクスポート、または 特定のデータ。
2.BitTitan Google Vault Extractorを使用して、ファイルを検索、エクスポート、およびアップロード(Azureに)します。
a.GoogleVaultを検索します。
b.GoogleVaultからコンテンツをエクスポートおよびダウンロードします。
c.UploaderWizを使用して、ローカルに保存されたファイルをAzureBlobストレージにアップロードします。
3.MigrationWizを使用してデータを移行します。
抽出対象のメール
GoogleVaultから抽出するデータは、ユーザーのプライマリメールボックスを移行するかどうかによって異なります。 Google Vaultは、現在のメールボックスのミラーです。メールの移行中にGoogleVault全体を移行すると、多くの重複アイテムが作成されます。 Google Vaultには、関連付けられているメールボックスのすべての内容が含まれています。ユーザーがプライマリメールボックスを移行する場合、Google Vaultから移行する必要があるフォルダーは、完全に削除されたアイテムのみです。
- 検索用語、 label ^deleted を使用して抽出を実行すると、完全に削除されたアイテムのみが抽出されます。
- Vaultのサイズが大きすぎて、いくつかに分けて抽出する必要がある場合は、検索用語にolder_than:x または newer_than:xを付けて抽出を実行する方法が一般的です。
検索用語の重要性
Google Webサイトを確認し、検索演算子に精通しておくことをお勧めします。検索演算子はGoogleの機能で、正しく使用されない場合は、メールが紛失したり、期待どおりの結果がエクスポートされなかったりする可能性があります。 使用する検索演算子(検索用語)によって、GoogleVaultメールボックスから抽出される内容が決まります。
一般的な検索用語
注意:用語の前にダッシュ( - )を付けると、エクスポートから除外されます。
- label:^ deletedは、完全に削除されたアイテムを抽出する場合に使用します。
- in:trashは、ごみ箱の中のアイテムを抽出する場合に使用します。
- -in:trashは、ゴミ箱の中のアイテムを抽出しない場合に使用します。
- in:draftsは、下書きフォルダー内のアイテムのみを抽出する場合に使用します。
- -in:draftsは、下書きフォルダー内のアイテムを抽出しない場合に使用します。
- older_than:1yは、1年以上前のアイテムのみを抽出する場合に使用します。
- newer_than:1yは、1年以内に作成したアイテムのみを抽出する場合に使用します。
Googleの一時停止中ユーザー
Googleの一時停止中ユーザーを移行する場合、MigrationWizではプライマリメールボックスは移行されないため、Vaultからすべてのメールアイテムをエクスポートします。検索用語を使用せずに抽出を実行すると、GoogleVaultから全てのメールが抽出されます。これらは通常、アクティブユーザーとは別のプロジェクトで処理されます。Office365側で非アクティブなアカウントに移行する場合、アカウントに対して特別な考慮が必要です。アカウントを移行完了後にのみ非アクティブ化する必要があります。移行後にアカウントを非アクティブ化する方法については、Microsoftガイドを参照してください。また、非アクティブなアカウントの回復可能なアイテムに移行する場合は、メールボックスが訴訟ホールドであることを確認するように心がけてください。この手順を怠ると、Office365からメールが削除されます。
Vaultのサイズ
Vaultのサイズは通常、Googleからのサポートが必要です。 抽出されるデータの内容を把握しておいてください。メールボックス全体のエクスポートより、完全に削除されたアイテムのみを抽出する方が処理が簡単です。MigrationWizを使用してプライマリメールボックスを移行する際、ほとんどの場合、抽出する必要があるのは完全に削除されたアイテムのみです。 必要なライセンスを査定するには、GoogleVaultから移行するデータの量を正確にレポートすることが重要です。 KB005370
移行のタイミング
ポイントインタイムキャプチャとは対照的に、Google Vaultは、プロダクションメールボックスの現在のバージョンを表します。 このため、移行元システムですべてのデータが一旦停止した(変更が行われていない)状態でのみ、GoogleVaultを移行することをお勧めします。 これにより、新しいアイテムや既存のアイテムへの変更が移行で失われることを防ぎます。 移行中はGoogleVaultが停止しているため、「完全移行(Full Migration)」戦略を使用すると、Azureから移行先まですべてを最小限の手順で実行できます。
Google Vault OAuthクライアントAPI
BitTitanのGoogle Vault Extractorは、BitTitanの共有APIではなく独自のOAuthクライアントAPIの使用を許可します。このオプションには多くの利点があり、スロットルとセキュリティをより細かく制御できます。 移行の要件ではありませんが、BitTitanにより推奨されています。Googleテナントでオプションを設定するためのステップバイステップの情報と、Google Vault ExtractorがクライアントAPIを使用するために必要な情報については以下を参照してください。
Google Vault OAuthクライアントAPIの設定
Office365メールボックス
重要: ユーザーメールボックスの「回復可能なアイテム」フォルダーに移行する場合は、Office365でユーザーが訴訟ホールドになっていることを確認してください。この手順を怠ると、データはOffice365で自動的に削除されます。 メールボックスは訴訟ホールドに配置してください。 TechNetの記事。
SQL監査ログ(Audit Logging)
移行されたアイテム数を正確にカウントするには、MigrationWizの監査ログ(Audit Logging)機能を使用することをお勧めします。 この機能を使用することにより、移行のレポートを作成したり、Google Vaultからエクスポートされたアイテムの数と、「回復可能なアイテム」領域に移行されたアイテムの数を比較したりすることができます。
BitTitan GoogleVaultのログ
BitTitan Google Vault Extractorは、すべての操作を次の場所にあるログファイルに記録します:%userprofile%\ appdata \ local \ logs \ GoogleVaultExport
トラブルシューティングとGoogle Vaultから抽出されたアイテムの数を検証するために、ログを所定の場所に保持することをお勧めします。
Google Vault Extractorのトラブルシューティング
アイテム数と検証
Google Vaultの抽出は、案件を作成および構成することにより機能します。次に、Googleは検索して検索結果をエクスポートします。検索中、Googleによってエクスポートされる予定のアイテム数を記録します。 エクスポートでは、MigrationWizはGoogle Vaultにアクティブな接続を確立できません。このため、エクスポートではGoogle および Googles(アイテム数)に依存する必要があります。
Office365メールボックス(「回復可能なアイテム」領域)にデータを移行する前に、サイズとアイテム数を把握してください。MigrationWizで移行を実行する場合、SQL監査ログ(Audit Logging)を使用して、これまでに移行されたすべてのアイテムのログを記録することをお勧めします。 移行が完了したら、 Office 365メールボックス(「回復可能なアイテム」領域)からサイズとアイテム数を取得してください。
BitTitan Google Vault Extractorログの情報、Office 365メールボックス(「回復可能なアイテム」領域)のスナップショット(移行前後)、およびSQL監査ログ(Audit Logging)の情報を使用して、適切に誤差を修正することができます。
速度
エクストラクターを追加して速度を上げます。エクストラクターを追加することにより、移行の規模を飛躍的に向上させることができます。(ただし制限があります。)エクストラクターの各インスタンスは、ユーザーのリストを上から順に実行するため、一度に実行できる抽出は1つのみです。 検索と抽出はGoogleが行うため、作業の大部分はGoogleによって実行されています。BitTitan Google Vault Extractorは、案件の作成を指示し、エクスポートされた結果をダウンロードします。上記の点から、同じエクスポートサーバー上で、BitTitanGoogle VaultExtractorの複数のバージョンを実行することができます。正常に実行するには、すべてを並行してパスを越えずに抽出を実行する必要があります。
下の図を参照してください。すべてのスイムレーンが分離されているため、効率的に問題を解決できます。 各抽出または作業は、エクスポートサーバー上の既存の作業ディレクトリで実行され、AzureBLOB上の独自のコンテナーにアップロードする必要があります。各Azure BLOBには、独自のMigrationWizプロジェクトをがあるため、目的のユーザーのエクスポートされたファイルのみをインポートできます。すべてのエクストラクターインスタンスに対し、同じAzureコンテナーにアップロードを行った場合、MigrationWizはすべてのプロジェクトにすべてのユーザーをインポートします。 エクスポートサーバーのディスク容量は重要です。エクスポートする必要のあるデータ量を十分にサポートできる容量があることを確認してください。
作業ディレクトリ1->エクストラクター1-> AzureBLOBコンテナー1-> MigrationWizプロジェクト1
作業ディレクトリ2->エクストラクター2-> AzureBLOBコンテナー2-> MigrationWizプロジェクト2
作業ディレクトリ3->エクストラクター3-> AzureBLOBコンテナーek3-> MigrationWizプロジェクト3
注意: 30個以上のGoogle Vault Extractorのインスタンスを同時に実行しないでください。 Google Vaultがサポートできる並列エクスポートは最大30個です。