オンプレミスExchange(バージョン2007以降)からOffice 365への移行ガイド

はじめに

本ガイドは、オンプレミスのExchangeサーバー(バージョン2007以降)からOffice 365にメールボックスを移行する際の導入手順書です。 表記の順序に従い、各ステップを完了してください。関連するナレッジベース記事へのリンクが提供されています。

MSPCompleteセクションには、デバイス管理エージェント(DMA)をエンドユーザーにデプロイする手順が含まれています。これ(DMA)は、HealthCheck for Office 365およびDeploymentProのモジュールを含むエージェントです。HealthCheck for Office 365やDeploymentProを使用する場合は、DMAをエンドユーザーにデプロイする必要があります。

HealthCheck for Office 365を使用して、エンドユーザーのハードウェアとソフトウェアがOffice 365と互換性があるかどうかを事前に確認することを強くお勧めします。

  • 注: HealthCheck for Office 365は無料のユーティリティです。

また、この移行シナリオでは、DeploymentProを使用してOutlookプロファイルを再構成することを強くお勧めします。

  • 注:DeploymentProは、UMB(User Migration Bundle)ライセンスに含まれています。DeploymentProはスタンドアロンサービスライセンスとして購入することはできず、一回移行用メールボックス移行ライセンスに追加することもできません。移行後にDeploymentProを使用してOutlookメールプロファイルをリモートで構成する場合は、UMB(ユーザー移行バンドル)ライセンスを購入してください。

MigrationWizは(同期ソリューションではなく)移行ソリューションであり、以前に実行された移行サイクルで移行されたアイテムの更新、削除、または移動を追跡しません。これは、MigrationWizには(同期エージェントのように)「ライブ」での変更のモニタリング機能はなく、ユーザーの操作なしに競合解決などを処理することができないためです。移行中、もしくは移行後に手動で移動されたドキュメントは、新しいアイテムとして扱われ、該当する移行先に複製されます。

MigrationWizは、ワークグループをまたがって、移行プロジェクトを共有する機能をサポートしています。プロジェクト共有機能をオンにすると、非アクティブなエージェント以外のすべてのエージェントに、全ての移行プロジェクトが表示されます。詳細については、MigrationWizの「プロジェクト共有 (Project Sharing)」をご覧ください。

 

移行元環境を準備する

  1. 移行元のExchangeメールボックスサーバーに移行用の管理者アカウントをセットアップします。
  2. 移行元のExchangeサーバでEWSが動作している必要があります。
  3. メールボックスへのアクセスをテストします。
  4. 移行中にExchange調整ポリシーを無効にします。
    注:
    • Exchange 2010以降のみ該当します。Exchangeバージョン2007以前には、調整ポリシーはありません。
    • Exchange 2010以降を使用している場合、移行を高速化するため、Exchangeの調整ポリシーを無効にすることを強くお勧めします。

 

移行先環境を準備する

  1. 移行に使用する管理者アカウントをOffice 365で作成するか、テナントのグローバル管理者アカウントを使用します。
  2. Office 365にてアカウントをセットアップし、ライセンスを割り当てます。これにはいくつかの方法があります。
    • 手動で、1つずつ。
    • CSVファイルを使用した一括インポート。
    • PowerShellスクリプトを使用。
    • DirSync、AAD Sync、またはAAD Connectを使用。同期作業の実施にあたっては、本重要ナレッジベースをご一読のうえ作業をお願い致します。
  3. 大きなメールアイテムを送受信するためにテナントを準備します。

 

MigrationWizの手順

  1. メールボックス移行プロジェクトを作成します(Create a Mailbox Project)。 
    • メールボックス移行のプロジェクトを作成 > 顧客を選択 > 移行元エンドポイントを選択 > 移行先エンドポイントを選択
  2. プロジェクトに移行するアカウント(「アイテム」とも呼称します)を追加します。
  3. プロジェクトの「詳細オプション(Advanced Options)」を設定します。
    • この移行シナリオでは、次のオプションが最も有用です。
      • 移行先で偽装(impersonation)を使用するように設定します。移行先(Destination)で「偽装を使用する(Use Impersonation to Authenticate)」チェックボックスにチェックを入れます。
      • 最大同時移行数を設定します。移行元のサーバーに十分なリソースがある場合は、帯域幅に基づいたガイドライン「1Mbpsあたり3つのメールボックス」に従って設定します。例えば、10Mbps接続がある場合、最大同時移行数を30に設定することをお勧めします。移行元のサーバーに使用可能なリソースが非常に少ない場合(例えば、メモリが不足しているまたはCPU使用率が非常に高い場合)、この値を低い値に設定して、移行元サーバーでリクエストが飽和しないようにすることをお勧めします。
  1. 資格情報の検証 (Verify Credentials)を実行します。
  2. 移行が行われることをユーザーに通知します。すべてのユーザーにメールを送信し、移行の日時を伝えます。
  3. 前段階移行(Pre-Stage)サイクル:ユーザーを選択し、上部の「開始(Start)」ボタンをクリックし、「前段階移行(Pre-Stage Migration)」を選択します。「移行のスケジューリング」セクションのドロップダウンリストから、「90日前(90 Days Ago)」を選択し、「移行を開始」をクリックします。
  4. MXレコードカットオーバー。DNSプロバイダーのポータルでMXレコードを切り替えます。また、AutoDiscover(CName)設定を含めます。
    • 注:数回の移行サイクルに分けて移行、かつ併用が必要な場合、最終サイクルの移行が終了するまでMXレコードをカットオーバーせず、2つの追加手順を実行する必要があります。
      • メールの転送設定を行います。
      • Office 365でメールルーティングを設定します。
  1. エンドユーザーにメールを送信し、Outlookプロファイルの再構成に関して操作があることを知らせます。
  2. 完全移行(デルタ)サイクル:ユーザーを選択し、上部の「開始(Start)」ボタンをクリックして、「完全移行(Full Migration)」を選択し、「移行を開始」をクリックします。
  3. エラーの再試行(Retry Errors)を実行します。
  4. ユーザーリストを確認し、赤い「移行に失敗しました」エラーをクリックします。表示された情報に従って操作してください。
  5. 問題が解決しない場合は、サポートにお問い合わせください。
  6. DeploymentProを使用しない場合、ユーザーは新しいOutlookプロファイルを作成し、再度署名を設定し、以前のプロファイルに添付されていたPSTファイルを再添付する必要があります。
  7. MigrationWizダッシュボードの「円グラフアイコン」をクリックすると、プロジェクトから全ての移行統計情報をメールで受信できます。

 

この記事は役に立ちましたか?
11人中5人がこの記事が役に立ったと言っています