本記事では、Google共有ドライブからSharePoint Onlineドキュメントライブラリへの移行のワークフローについて説明します。本移行シナリオでは、共有ドキュメントライセンス(Shared Document License)を使用します。2要素認証あるいは多要素認証を使用した移行はサポートしていません。移行先エンドポイントがSharePoint Onlineの場合、GCC Highの移行はサポートしていません。
既知の動作や制限がある他のシナリオについては、本記事の最後で説明します。
移行を初めて実行する場合は、本ガイドの手順を開始する前に、移行計画および戦略ガイドを参照してください。移行の計画と設定、および一般的な移行のベストプラクティスについて説明しています。
MigrationWizは移行ツールであり、同期ツールではありません。MigrationWizには、(同期エージェントのように)「ライブ」での変更のモニタリング機能はなく、ユーザーの操作なしに競合解決などを処理することはできません。
移行できるアイテムと移行されないアイテム
移行できるアイテム
- ファイル
- フォルダー
- 権限
- バージョン(最大25)
- メタデータ
- ファイル/フォルダー名
- 変更日(移行された最新バージョンの変更日に基づく)
- 変更者
- 作成日(移行された最新バージョンの作成日に基づく)
- 「説明」は、移行先の「タイトル(Title)」列に移行されます。移行できる文字数は、「タイトル(Title)」フィールドの現行の文字数制限内に限られます。
- 「作成者」のメタデータは移行されますが、内容が正確でない場合があります。現在のところ、これを回避する方法はありません。
- ターゲットファイルが同じ共有ドライブ内に存在する場合、ショートカットは.URLファイルとして移行先のドキュメントライブラリに移行されます。ショートカットは、関連するすべてのドキュメントと権限の移行が完了した後に、後続の移行ステップで移行されます。
移行されないアイテム
- 一部のGoogle独自のフォーマットのファイル(ドキュメント、スプレッドシート、スライドなど)では、ファイルのバージョンにカスタム名を指定することができます。このようなカスタム名を使用したバージョン名は移行されません。
- Google独自のフォーマットのファイルに対するマイナーリビジョンは移行されません。
- Googleサイト、マップ、Apps Scriptファイルはサポートされていません。
- Googleドキュメント、スプレッドシート、スライドに埋め込まれたビデオ/ハイパーリンクは、Google独自のファイルがMicrosoft 365のフォーマットに変換される際に、正確に移行されない場合があります。
- .TMPファイルはサポートされていません。
- ターゲットファイルが移行先に存在しない場合、ショートカットは移行されません。
- Googleフォームのバージョンはサポートされていません。
- Google図形描画ファイル(画像に変換されたファイル)のバージョンは、正しく移行されない場合があります。移行されたすべてのバージョンで、最新バージョンと同じコンテンツが表示される場合があります。これは、現行のAPI制限によるもので、現在のところ回避策はありません。
- 15GBを超えるファイルの移行は、現在サポートされていません。
移行元環境を準備する
GoogleサービスアカウントとAPIスコープを設定する
Googleプロジェクトを作成する
- Google Cloud Platform (GCP)コンソールに移動し、特権管理者としてログインします。次のいずれかの方法を選択します:
- Google Cloud Platformコンソールを初めて使用する場合は、利用規約に同意し、「プロジェクトを作成(Create Project)」をクリックします。
- 以前にGoogle Cloud Platformコンソールを使用したことがある場合は、画面上部の最新のプロジェクト名の横にある「下へ(Down)」をクリックして、プロジェクトリストを開きます。「新しいプロジェクト(New Project)」をクリックします。
- プロジェクト名を入力し、「作成(Create)」をクリックします。
サービスアカウントのAPIを有効にする
- Google Cloud Platformコンソールで、「メニュー(Menu)」 > 「APIとサービス(APIs & Services)」 > 「ライブラリ(Library)」をクリックします。
- 下記のAPIを選択し、「有効にする(Enable)」をクリックします。
APIごとに操作を繰り返します: - Google Drive API
- Admin SDK
顧客のテナントでサービスアカウントを作成する
- Google Cloud Platformコンソールで、「メニュー(Menu)」をクリックします。
- 「IAMと管理(IAM & Admin)」 をクリックします。
- 「サービスアカウント(Service Accounts)」をクリックします。
- 「サービスアカウントを作成(Create Service Account)」をクリックして、名前を入力します。
- 「役割(Role)」ドロップダウンメニューから「オーナー(Owner)」を選択して、新しいサービスアカウントにオーナーの役割を付与します。
- 「完了(Done)」をクリックして、サービスアカウントの作成を完了します。
- 「サービスアカウント(Service Accounts)」のページで、上で作成したサービスアカウントの「操作(Actions)」列の下にある縦の3点リーダーをクリックします。
- 「キーを作成(Create Key)」をクリックします。
- JSON形式が選択されていることを確認し、「作成(Create)」をクリックします。
- キーは必ずJSONファイルとしてダウンロードし、ファイルの名前と場所を書き留めてください。このJSONファイルは、移行プロジェクトで移行元エンドポイントを設定する際に使用します。
- JSONファイルのフィールドには、“type”、“private_key”、 “client_email”が含まれている必要があります。これらの必須フィールドが空欄になっていると、エンドポイント作成時にファイルのアップロードに失敗します。
移行のスコープを設定する
- Google Cloud Platformコンソールで、「メニュー(Menu)」をクリックします。
- 「IAMと管理(IAM & Admin)」 をクリックします。
- 「サービスアカウント(Service Accounts)」をクリックします。
- 上で設定したサービスアカウントを特定します。
- そのサービスアカウントの「一意のID(Unique ID)」フィールドのキーの値(番号)をコピーします。この値は、クライアントIDとして、後のステップで使用します。
- 「一意のID(Unique ID)」フィールドを表示するには、多くの場合、ビューへの追加が必要となります。「列表示オプション(Column display options)」ボタンをクリックし、「一意のID(Unique ID)」のチェックボックスをオンにして、「OK」をクリックします。
- クライアントIDは、管理者アカウントのパスワードと同様に厳重に管理してください。
- admin.google.comでG Suiteの管理ページに移動します。
- 「セキュリティ(Security)」をクリックします。
- 「API権限(API Permissions)」をクリックします。
- 「APIコントロール(API Controls)」ページで、「ドメイン全体の委任(Domain-wide delegation)」セクションを特定します。
- 「ドメイン全体の委任を管理(Manage domain-wide delegation)」をクリックします。
- 「新しく追加(Add new)」 をクリックします。
- 「クライアント名(Client Name)」フィールドに、サービスアカウントの「一意のID(Unique ID)」を入力します。
- 「OAuthスコープ(OAuth scopes)(カンマ区切り)」フィールドに、次のスコープを入力します:
- https://www.googleapis.com/auth/drive
- https://www.googleapis.com/auth/admin.directory.group.readonly
- 「承認(Authorize)」をクリックします。
移行元の共有ドライブのメンバーシップ権限の要件:
- 移行元の共有ドライブに、閲覧者/コメント投稿者よりも高い権限を持つ移行元テナントのアクティブメンバーが所属していることを確認します。
- 共有ドライブには、マネージャー権限を持つ移行元テナントのアクティブメンバーが少なくとも1人所属している必要があります。
Azure環境を準備する
Microsoft提供のAzureストレージ
本移行には、Microsoftが提供するAzureストレージの使用をお勧めします。詳細については、 Microsoftのドキュメントを参照してください。Azureストレージを使用する場合は、本セクションをスキップして、「移行先環境を準備する」に進んでください。
固有のAzureストレージ
お客様が所有するAzureストレージを使用する場合は、次の手順に従って、Azure環境を準備してください。移行先のOffice 365テナントと同じMicrosoftデータセンターに、Azureストレージアカウントを作成することをお勧めします。移行のためにAzureコンテナーを作成する必要はありません。
- Azureストレージのコストを見積もります。本ステップは任意ですが、顧客に事前にストレージコストを提供する際に有用です。
- Azureサブスクリプションを購入します。(1か月無料の試用版を使用することもできますが、移行できるデータが少量となりますので、注意してください。)
Azureストレージアカウントを作成する
Blob Storageではなく、「STORAGE(汎用v2)」アカウントを作成してください。
- ストレージアカウント名とプライマリアクセスキーを書き留めます。(Azure内のストレージ画面で、下部にある「アクセスキーを管理(Manage Access Keys)」をクリックします。) これらの情報は、MigrationWizの移行プロジェクトの移行先設定の際に必要となります。
Azureストレージアカウントの作成方法:
- Azureポータルにアクセスします。
- 「新規(New)」をクリックします。
- 「ストレージ(Storage)」を選択します。
- 「ストレージアカウント(Storage account)」を選択します。
- ストレージアカウントの名前を入力します。
- デプロイメントモデルに「リソースマネージャー(Resource manager)」を選択します。
- 「STORAGE(汎用v2)」を選択します。
- ストレージアカウント名(-accesskey、例:“accountname”)とプライマリアクセスキー(-secretkey、例:“W1RrDfkPNkfYfdVqizMNJjn5mXchwMP5uYBY8MsMqWTA7EubG911+4fZlki0Gag==”)を書き留めます。
- 「レプリケーション(Replication)」フィールドで、「ローカル冗長ストレージ(Locally Redundant Storage (LRS))」を選択します。
- 新しいストレージアカウントを作成するサブスクリプションを選択します。
- 新しいリソースグループを指定するか、既存のリソースグループを選択します。
- ストレージアカウントの地理的な場所を選択します。
- 「作成(Create)」をクリックして、ストレージアカウントを作成します。
ストレージアカウントがストレージリストに表示されます。
移行先環境を準備する
- 移行に使用するSharePoint Online管理者またはサイトコレクション管理者アカウントを作成するか、テナントのグローバル管理者アカウントを使用します。
- SharePointサイトを作成し、ドキュメントライブラリが保存されているサイトのURLを書き留めます。
- 移行先のSharePoint Onlineサイトにドキュメントライブラリを作成します(任意)。作成方法については、次のMicrosoftの手順に従ってください: ドキュメントライブラリを作成する
- 必要なすべてのユーザー/グループ(外部ユーザーがいる場合は、それを含む)が移行先のSharePointサイトにて設定され、移行先のドキュメントライブラリの利用が可能になっていることを確認します。
SharePointのアプリケーション権限
移行先の権限レベルを設定する手順は次の通りです。この認証プロセスでは、どのユーザーに移行先へのアクセス権を付与するかを制御することができます。
- グローバル管理者としてサインインしていることを確認します。
- MigrationWiz-SharePoint-FullControlにクリックし、プロンプトが表示されたら、アプリへのアクセスに同意します。
- Office 365管理ポータルで、「MigrationWiz」という名前の新しいセキュリティグループを作成します。
- 新しいユーザーを作成します。
- 上で作成したMigrationWizセキュリティグループに、新しいユーザーをメンバーとして追加します。
- これらの資格情報は、移行先エンドポイントを設定する際に使用するため、書き留めておきます。
権限を削除する手順については、後述の「移行後の手順」セクションで説明します。
MigrationWizでの手順
ライセンス
本移行シナリオでは、共有ドキュメントライセンス(Shared Document License)を使用します。
- プロジェクトのラインアイテムごとに1つのライセンス(つまり、Google共有ドライブからSharePoint Onlineドキュメントライブラリへの移行ごとに1つ)
- データ制限:1ライセンスあたり50GB
ライセンスの購入方法:
- BitTitanアカウントにサインインします。
- 上部のナビゲーションバーで、「購入(Purchase)」をクリックします。
- 必要なライセンスタイプの「選択(Select)」ボタンをクリックします。
- 購入するライセンスの数を入力します。「今すぐ購入(Buy Now)」をクリックします。
- 必要に応じて「請求先住所(Billing Address)」を入力します。
- 「次へ(Next)」をクリックします。
- 「注文内容(Order Summary)」を確認し、支払い方法を入力します。
- 「購入する(Place Your Order)」をクリックします。
支払いが受領されると、ライセンスが発行されます:
- クレジットカードによる購入の場合、決済後すぐにライセンスが利用可能になります。
- 電信送金(100ライセンス以上)による購入の場合は、支払いが受領され、承認された後に、ライセンスが利用可能になります。
ドキュメント移行プロジェクトを設定する
- MigrationWizアカウントにサインインします。
- 「マイ・プロジェクトへ」をクリックします。
- 「プロジェクトを作成(Create Project)」をクリックします。
- 「ドキュメントプロジェクトを作成(Create a Document Project)」をクリックします。
- 「次のステップ」をクリックします。
- 「プロジェクト名(Project Name)」を入力し、「顧客(Customer)」を選択します。
- 「次のステップ」をクリックします。
- 「移行元の設定」で、「エンドポイント(Endpoint)」ドロップダウンメニューから、移行元エンドポイントを選択します。
- 該当する移行元エンドポイントがリストにない場合は、「新規(New)」をクリックして、移行元エンドポイントを作成する必要があります。次のフィールドに入力して、新しい移行元エンドポイントを設定します:
- エンドポイント名(Endpoint Name):任意の名前を入力してください。エンドポイントが複数ある場合は、名前を書き留めておくことをお勧めします。検索によって表示されるのは、上位10のエンドポイントのみになります。
- エンドポイントタイプ(Endpoint Type): 「エンドポイントタイプ(Endpoint Type)」ドロップダウンリストから、「Google共有ドライブ(Google Shared Drives)」を選択します。
- サービスアカウントの資格情報(Service account credentials): サービスアカウント用に作成されたJSONファイルを選択します。
- 特権管理者ユーザー名(Super Administrative Username): 移行元テナントの特権管理者のメールアドレスを入力します。
- 「追加(Add)」をクリックします。
- 「次のステップ」をクリックします。
- 「移行先の設定( DESTINATION SETTINGS)」で、「エンドポイント(Endpoint)」ドロップダウンメニューから、移行先エンドポイントを選択します。
- 該当する移行先エンドポイントがリストにない場合は、「新規(New)」をクリックして、移行先エンドポイントを作成する必要があります。次のフィールドに入力して、移行先エンドポイントを設定します:
- エンドポイント名(Endpoint Name):任意の名前を入力してください。エンドポイントが複数ある場合は、名前を書き留めておくことをお勧めします。検索によって表示されるのは、上位10のエンドポイントのみになります。
- エンドポイントタイプ(Endpoint Type): 「エンドポイントタイプ(Endpoint Type)」ドロップダウンリストから、「SharePoint Online」を選択します。
- SharePoint OnlineテナントのURL(SharePoint Online Tenant URL): 移行先のSharePointテナントのURLを入力します。
- Office 365のユーザー名/パスワード(Office 365 Username/Password): 移行の実行を許可された、移行先テナントのユーザーのメールアドレスを入力します。
- 移行先テナントのMigrationWizセキュリティグループに追加された、Office365ユーザーの資格情報を使用します。
- 「追加(Add)」をクリックします。
- 「保存して概要へ移動」をクリックします。
- 「プロジェクトを保存(Save Project)」をクリックします。
ラインアイテムを追加する
アイテムの追加には、次の3つの方法があります。いずれかの方法を選択し、それぞれの手順に従ってください。
アイテム自動検出(Autodiscover Items)
「アイテム自動検出(Autodiscover Items)」オプションを使用すると、移行元環境で利用可能な共有ドライブを検出することができます。検出された共有ドライブは、ラインアイテムとしてプロジェクトにインポートすることができます。共有ドライブに関連付けられたIDも、ラインアイテムに紐づけられます。
プロジェクトにラインアイテムがインポートされると、移行元の共有ドライブと同じ値のドキュメントライブラリが移行先に設定されます。ラインアイテムを編集し、移行先の設定を適切な値またはドキュメントライブラリパスに更新してください。移行先のドキュメントライブラリパスのキャプチャについては、次のセクションを参照してください。
一括追加
このオプションを使用すると、スプレッドシートからコピーして貼り付けたり、CSVファイルをインポートすることにより、複数のアイテムを一度に追加することができます。
クイック追加(Quick Add)
このオプションを使用すると、アイテムを1つずつ追加することができます。各ラインアイテムについて、移行元の「共有ドライブ名(Shared Drive Name)」と「ドライブID(Drive ID)」、および移行先の「ライブラリ名(Library Name)」(ドキュメントライブラリパス)を入力する必要があります。
- 移行元の「ドライブID(Drive ID)」の入力は任意です。ただし、移行元テナントで共有ドライブ名が重複している場合は、「ドライブID(Drive ID)」を正確に入力する必要があります。
- 移行先のドキュメントライブラリパスが正しく入力されていることを確認してください(次のセクションの例を参照してください)。
移行先のドキュメントライブラリパスをキャプチャしてラインアイテムを設定する
スムーズな移行のために、URLからドキュメントライブラリパスをキャプチャすることをお勧めします。次の例は、さまざまなタイプのURLの詳細と、ドキュメントライブラリパスを正しくキャプチャする方法を示しています:
例1:サイトの下に配置されたドキュメントライブラリ:
例2:サイトの下に配置されたデフォルトのドキュメントライブラリ:
例3:サブサイトの下に配置されたドキュメントライブラリ:
例4:SharePoint Onlineルートサイトの直下に配置されたデフォルトのドキュメントライブラリ:
例5:SharePoint Onlineルートサブサイトの直下に配置されたドキュメントライブラリ:
例6: サイト名やドキュメントライブラリ名に特殊文字が含まれている場合、それらがURLに正しく反映されないことがあります。ドキュメントライブラリパスをURLから正しくキャプチャすることが重要です。
プロジェクトの「詳細オプション(Advanced Options)」を設定する
移行に役立つ「サポートオプション(Support Options)」および「詳細オプション(Advanced Options)」を以下に示します。
「サポート(Support)」タブで
- InitializationTimeout=8 これは、初期化のタイムアウト値を8時間に増やします。この値は時間単位で、最大は100時間です。100を超える値を設定すると、ミリ秒単位として解釈されます。このオプションは大規模な移行に有用です。たとえば:
- InitializationTimeout=2は、タイムアウトを2時間に増やします。
- InitializationTimeout=8は、タイムアウトを8時間に増やします。
- InitializationTimeout=14400000は、タイムアウトを4時間に増やします。
- InitializationTimeout=21600000は、タイムアウトを6時間に増やします。
- RenameConflictingFiles=1
- SharePoint Onlineでは、名前が重複する複数のファイルを同じフォルダー内に格納することはできません。共有ドライブの同一フォルダー内に同じ名前のファイルが複数ある場合は、この「詳細オプション(Advanced Options)」を使用して、競合するファイルを処理します。
- この「詳細オプション(Advanced Options)」は、重複するフォルダー名には適用されません。移行元で同じ親フォルダー内に重複するフォルダー名がある場合、移行先では、その重複する複数のフォルダーの内容が単一のフォルダーに移行されます。
- ShrinkFoldersMaxLength=200 (「200」は、パスを短くする前の最大パス長です。)
- SharePoint Onlineへの移行では、パス長制限はごく一般的な問題となっています。この「詳細オプション(Advanced Options)」がどのように機能するかについては、ナレッジベースを参照してください。
- 長すぎるフォルダーパスを「詳細オプション(Advanced Options)」を使用して短くした場合でも、SharePointのパス長制限内に収まらないことがある点に注意してください。そのような場合、エラーがログに記録され、関連するアイテムは移行されません。これを回避するために、移行元のネストされたフォルダーの数を減らし、パスを短くすることをお勧めします。
- InvalidCharacterReplacementString=a (「a」は、ファイル名でサポートされていない文字を置き換えるために使用される文字列です。)
- SharePoint Onlineでは、ファイル名として使用できない文字がいくつかあります。「詳細オプション(Advanced Options)」では、ファイル名でサポートされていない文字のインスタンスを、「詳細オプション(Advanced Options)」で指定した文字列に置き換えます。(たとえば、「a」など)
- 詳細については、サポートされていない文字に関するMicrosoftのドキュメントを参照してください。
- UserMapping="abc_user1@source-domain->pqr_user5@destination-domain”
- 権限マッピングをカスタマイズする場合は、「詳細オプション(Advanced Options)」の「UserMapping」を使用します。
- 移行先のユーザー/グループ(pqr_user5@destination-domain)は、移行の実行前に、移行先のドキュメントライブラリを利用できるように権限を付与されている必要があります。
「移行元/移行先(Source/Destination)」タブで
- 「移行するドキュメントのバージョン数(現在のバージョンを含む)(Document versions to migrate (including current version))」を設定し、「保存(Save)」をクリックします。
- 移行するバージョン数の最小値は1、最大値は25です。
- バージョン数のデフォルトの値は1です。要件に応じて、この値を変更してください。
- 共有ドライブのメンバーシップ権限をドキュメントライブラリの権限レベルに移行する:
- デフォルトでは、共有ドライブのメンバーシップ権限は、ドキュメントライブラリの権限レベルに移行されません。
- 共有ドライブのメンバーシップ権限をドキュメントライブラリの権限レベルに移行する場合は、「移行元の共有ドライブのメンバーシップ権限を移行先の共有ドライブに移行する(Migrate source shared drive membership permissions to destination shared drive)」を選択し、「保存(Save)」をクリックします。移行先のカスタム権限は保持されます。ただし、ドキュメントライブラリがサイトから権限を継承していた場合、この継承は無効となり、移行先のライブラリの権限は移行された権限に置き換えられます(元の継承された権限は失われます)。
資格情報の検証(Verify Credentials)
データを移行したりライセンスを消費したりすることなく、MigrationWizプロジェクトのエンドポイントやアイテムの資格情報を検証することができます。
- 検証するラインアイテムを含むプロジェクトを開きます。
- 検証するラインアイテムを選択します。
- ダッシュボードの「移行を開始」ボタンをクリックします。
- ドロップダウンリストから「資格情報の検証(Verify Credentials)」を選択します。
- 検証が完了すると、検証結果が「ステータス(Status)」セクションに表示されます。
完全移行(Full Migration)を実行する
ドキュメントライブラリの移行を開始するには:
- 移行するラインアイテムを含むプロジェクトを開きます。
- 移行するラインアイテムを選択します。
- ダッシュボードの「移行を開始」ボタンをクリックします。
- ドロップダウンリストから「完全移行(Full Migration)」を選択します。
- 「ドキュメント(Documents)」と「ドキュメント権限(Document Permissions)」のチェックボックスがオンになっていることを確認します。
- 「移行を開始」をクリックします。
- 移行が完了すると、移行結果が「ステータス(Status)」セクションに表示されます。
- ショートカットの移行:
- ショートカットを移行先に(.urlファイルとして)移行するには、上の完全移行の手順に続いて、追加の移行サイクルを実行します。この時、「ステップ2(Step 2)」を選択します。
- 「ステップ2(Step 2)」は、関連するすべてのドキュメントと権限の移行が完了した後に実行します。
- 「ステップ2(Step 2)」は必須ではありません。ショートカットを移行先に(.urlファイルとして)移行する場合にのみ必要となります。
移行後の手順
固有のAzureストレージ
必要に応じて、本移行で使用したすべてのAzureコンテナーを削除します。これにより、移行後にAzureコンテナーのコストが発生するのを防ぐことができます。本移行用に作成したコンテナーのみを削除するように注意してください。
アプリの権限を削除する
- 新しく作成したユーザーを削除します。
- MigrationWizセキュリティグループを削除します。
- 移行元または移行先からアプリを削除するには、次の手順に従います:
- PowerShellを起動します。
- PowerShellをOffice 365に接続します。
- 次のコマンドを入力します: Connect-AzureAD
- プロンプトに管理者資格情報を入力します。
- 次のコマンドを入力します:Get-AzureADServicePrincipal -SearchString Migration
- 削除するアプリのオブジェクトIDを特定し、次のコマンドを入力します: Remove-AzureADServicePrincipal -objectId <オブジェクトID>
既知の動作と制限
共有ドライブのメンバーシップ
移行元の共有ドライブに、移行元テナントのアクティブなメンバーが1人も存在しない場合(直接ユーザーまたはグループの一員として)、共有ドライブは移行されません。
制限付きファイルの移行
Google共有ドライブには、閲覧者およびコメント投稿者の権限を持つユーザーによるファイルのダウンロードを制限できる機能があります。このような制限付きのファイルを移行するには、共有ドライブに、閲覧者/コメント投稿者よりも高い権限を持つ移行元テナントのアクティブメンバーが必要です。
フォーマット変換
Google独自のフォーマットのファイルは、次のように変換されます:
- Googleドキュメントは、Microsoft Word (.docx)フォーマットに変換されます。
- Googleスプレッドシートは、Microsoft Excel (.xlsx)フォーマットに変換されます。
- Googleスライドは、Microsoft PowerPoint (.pptx)フォーマットに変換されます。
- Google図形描画は、.jpgフォーマットに変換されます。移行後は、これらの変換されたドキュメントを編集することはできません。
- Googleフォームは、.zipフォーマット(.htmlと.csvを含む)に変換されます。
- Google Jamboardは、PDFフォーマットに変換されます。移行後は、これらの変換されたドキュメントを編集することはできません。
- Googleサイト、マップ、Apps Scriptは移行されません。
コメントを含むGoogle独自のフォーマットのファイル(Googleドキュメント、スプレッドシート、スライドなど)をOffice 365フォーマットに変換すると、「Text Wrapping Break」などの文言が追加表示される場合があります。
権限マッピング
Google共有ドライブ(移行元) |
SharePoint Onlineドキュメントライブラリ(移行先) |
マネージャー |
フルコントロール |
コンテンツマネージャー |
編集 |
寄稿者 |
編集 |
編集者 |
編集 |
コメント投稿者 |
閲覧 |
閲覧者 |
閲覧 |
ダウンロードを制限されているコメント投稿者/閲覧者 |
制限付き閲覧(ドキュメントのみ) |
重複するフォルダー名
「詳細オプション(Advanced Options)」のRenameConflictingFiles=1は、重複するフォルダー名には適用されません。移行元で同じ親フォルダー内に重複するフォルダー名がある場合、移行先では、その重複する複数のフォルダーの内容が単一のフォルダーに移行されます。
マルチサイクルの動作
最初の移行サイクルでは、ファイルとそれに関連するバージョンが移行先に移行されます。後続のサイクルでは、移行元のファイルに新しいバージョンがある場合にのみ、移行先のファイルが上書きされ、最新バージョンに更新されます。
移行元ファイルの内容に変更がない場合、後続のサイクルでファイルやバージョンが移行されることはありません。つまり、移行先には何の変化も起こりません。
新規フォルダー、名前を変更したフォルダー、既存のフォルダーが、移行先に移行されます。
-
- 以前のサイクルでエクスポートされなかった新しいフォルダーは、後続のサイクルで移行先に作成されます。
- 最初の移行サイクルの完了後に移行元で名前が変更されたフォルダーは、新しいフォルダーとして扱われ、後続のサイクルで移行先に作成されます。以前の移行サイクルで移行されなかった新しいファイルも、このフォルダーの配下に移行されます。
最初の移行サイクルの完了後に移行元で作成された新しいファイル(ウォーターマークのないファイル)は、後続のサイクルで、移行先にある現在の移行元フォルダーの配下に移行されます。
以前に移行したファイルの名前を変更した場合(または、メタデータなどの他の変更をファイルに対して行った場合)、変更後のファイルは移行されません。
移行先のMigrationWizId文字列
移行の一環として、MigrationWizId、MigrationWizIdPermissions、MigrationWizIdVersionという文字列が、移行したデータのウォーターマークの一部として移行先で作成されます。
同様のウォーターマークがバージョンにも追加され、バージョン履歴の一部として表示されます。
バージョン
- 移行元ファイルのバージョンが空ファイルの場合、そのバージョンは移行APIによって無視され、移行されません。
- Google共有ドライブ内のフォルダーとショートカットは、バージョンをサポートしていません。
ショートカット
- 「詳細オプション(Advanced Options)」のShrinkFoldersMaxLengthを使用して、ターゲットフォルダー名が短縮されている場合、フォルダーショートカットが移行されない場合があります。
- .URLファイルとして移行先に移行されたショートカットファイルは、移行元でターゲットファイルに直接適用された権限を保持しません。
SharePointサイトのURLを使用して移行先エンドポイントを設定する(必要に応じて)
単一の移行先サイトのドキュメントライブラリに移行する場合は、エンドポイントURLを次のフォーマットで設定することをお勧めします:https://tenant.sharepoint.com/sites/site-name
移行先エンドポイントがSharePointサイトのURLで設定されている場合、移行先のラインアイテム名は、URLのライブラリ名にする必要があります。実際のドキュメントライブラリ名は、URLのライブラリ名と異なる場合があることに注意してください。次に示すように、URLのライブラリ名を使用する必要があります。