移行速度とパフォーマンス

移行時間

移行速度および時間は、環境や移行タイプだけでなく、移行対象のデータ量によっても異なります。また、帯域幅、スロットリング、権限、メールボックスのサイズ、コンテンツによっても影響を受けます。そのため弊社では、移行時間の予測や具体的なタイムラインの提供は行っていません。

ただし、特定の移行シナリオに対し、可能な限り効率的かつ合理的な方法を提供することはできます。以下の説明は一般的なものであり、移行タイプや環境が特に指定されていない限り、多くの移行に適用することができます。詳細は、各移行ガイドにも記載されています。

移行ガイドと関連ドキュメントをよく読んで、その手順に従うことをお勧めします。移行速度とは無関係に見える記事もありますが、移行を効率的に実行するための基本は、綿密な計画とその適切な遂行です。

弊社では、「完全移行(Full Migration)」の前に、「トライアル移行(Trial Migration)」を実行することをお勧めしています。小規模な「トライアル移行(Trial Migration)」を実行することにより、速度やボトルネックの実証、問題点のトラブルシューティングを行うことができます。 

移行の停止と再開

移行を停止して再び開始することは、速度を向上させるどころか、それまでの移行プロセスを無駄にするだけです。移行速度が必要以上に遅いと思われる場合は、関連ドキュメントをもう一度確認して、設定が正しく行われているかどうかを確認してください。設定が正しい場合は、移行を継続したままで、サポートまでお問い合わせください。

移行速度の要因

ネットワーク速度

移行元および移行先サーバーのインターネット接続速度はどのくらいですか?移行処理全体の速度は、最低接続速度と同程度になります。MigrationWizでは、T1から複数のギガビット接続をホストするネットワークまで、さまざまなネットワーク接続が可能ですが、移行サーバーが設置されているデータセンターの性能に応じて、1ギガビットまたは10ギガビット接続が最も一般的となっています。この速度差を考慮に入れることで、移行にかかる時間を適切に計画することができます。

社内の他のチームが大規模プロジェクトを実行している場合もありますので、注意してください。全社的なビデオ会議で帯域幅が使用されている場合などに、移行パフォーマンスが低下することがあります。 

サーバー負荷

移行元と移行先で使用される機器の種類は何ですか?これは、オンプレミスまたは古い環境を含む移行の場合に、特に重要になります。

スロットリング

MigrationWizには、スロットリング機能はありません。弊社では、既存の最大容量の移行サーバーを使用しており、一貫したワークロードを維持することが可能です。ただし、ホストや環境によっては、スロットリングが発生する場合があります。たとえば、弊社のExchange移行ガイドには、大規模移行におけるスロットリングの防止や低減に関する情報が記載されています。

スロットリングの有無によって移行の準備手順が変わる場合があるため、移行を開始する前に、移行元または移行先環境にスロットリング機能があるかどうかを確認することが重要です。

アイテムの数とサイズ

大規模な移行でも、アイテムの数が少ない場合は、移行がすぐに完了することがあります。反対に、小規模な移行に見えても、フォルダー階層が深い場合や複雑な権限を有している場合は、移行にかなりの時間を要することがあります。

サイズの大きなアイテムを50~75件程度特定し、最初にそれらのアイテムを移行することをお勧めします。これにより、残りのアイテムをより迅速に移行できるようになります。最初にサイズの大きなアイテムだけを移行することで、スロットリングや問題の発生を回避し、移行期間の終了時までに移行を完了させることが可能になります。

1000を超えるアイテムがある場合、それらを500~1000アイテムの複数のグループに分割して移行することをお勧めします。これにより、問題の迅速な特定が可能になり、移行速度の低下を回避することができます。

ネットワーク遅延

ネットワークの遅延は、移行元および移行先と弊社のデータセンター間の接続の品質に左右されます。弊社は、世界中で利用可能な最速のインターネットバックボーンを利用しています。弊社の移行サーバー拠点はグローバルに展開しているので、接続は待ち時間の短いネットワークから行われます。

ただし、待ち時間はプロバイダーによって異なります。また、回線が混雑する時間帯や周辺で発生するイベントにも注意する必要があります。

移行速度のサンプル

移行速度の大まかな概要を以下に示します。これはSLAではありません。弊社のパートナーによる多くの移行事例を基にした、移行速度の例です。一部の移行(特に複雑なフォルダー構造や広範な権限を持つ移行)は、ここに示す例よりも遅くなる場合があります。

  • 低速度:ユーザーあたり250MB/時
  • 中速度:ユーザーあたり750MB/時
  • 高速度:ユーザーあたり1.25GB/時

解決策

移行中に問題が発生した場合、次の操作を行うことで、問題が解決する場合があります。 

  • 大きなフォルダーや複雑なフォルダーを特定し、他のフォルダーやファイルとは別に移行します。
  • 一回の移行で処理されるアイテム数が1000件以内になるように、処理対象アイテムを分割します。 
  • 権限の移行を個別に実行します。 
  • 移行先フォルダーが正しく設定されていることを確認します。
  • オンプレミスのExchangeの場合は、スロットリングを無効にします

結論

移行には、多くの予測不可能な要素があります。移行を成功させるためには、移行の開始前に、以下の手順を実行してください。 

  1. 移行元と移行先の両方の環境の帯域幅を確認します。
  2. 移行ガイドと関連ドキュメントを注意深く読みます。
  3. 移行するアイテムのうち、著しく大きなアイテムを特定します。
  4. 移行時間が想定よりも長くなる可能性を考慮して、余裕をもって計画を立てるようにします。
  5. 概念実証または先行移行を適切に実行します。テストで実稼働環境を再現することは、移行に対する期待水準を設定するのに役立ちます。また、接続、ファイアウォールの問題、スロットリングのトラブルシューティングを行うこともできます。 
この記事は役に立ちましたか?
7人中4人がこの記事が役に立ったと言っています