Teamsプライベートチャットのメールボックス移行に代わり、MigrationWizによるTeamsプライベートチャットのリハイドレーション移行のサポートが強化されました。本ガイドでは、移行プロジェクトをステップごとに説明し、移行をスムーズに成功させるための各手順を示します。
MigrationWiz
MigrationWizは移行ツールであり、同期ツールではありません。移行完了後に移行元のアイテムに変更が加えられた場合、その変更は移行先には反映されません。同様に、移行先で加えられた変更も、移行元には反映されません。MigrationWizには、(同期エージェントのような)「ライブ」での変更のモニタリング機能はなく、ユーザーの操作なしに競合解決などを処理することはできません。
MigrationWizでは、移行可能な最大ファイルサイズは、移行タイプと環境によって異なります。ただし、60GBを超えるファイルを移行することはできません。
前提条件
MigrationWizを使用する際、移行元と移行先の両方のコネクタのユーザーロールとセキュリティグループの要件を理解することが不可欠です。
- 移行元エンドポイントのユーザーは、MigrationWizセキュリティグループのメンバーである必要がありますが、管理者ロールは必要ありません。
- 移行先エンドポイントでは、ユーザーはセキュリティグループのメンバーである必要はなく、管理者ロールも必要ではありません。このユーザーアカウントは、有効なTeamsライセンスが割り当てられた、クラウド専用アカウントである必要があります。
ライセンス
現在のところ、このタイプの移行にはライセンスは必要ありません。
制限
このタイプの移行には次のような制限があります。
- 会話はチャットのスレッドとしてのみ移行されます。
- デフォルトのユーザーマッピングは、表示名とラインアイテムのみに基づいてサポートされます。
- 移行およびリハイドレートされるのは、移行から過去30日間のみです。
- Teamsプライベートチャットの移行はIpLockDown をサポートしていません。
- 現時点では、GCC Highへの移行はサポートされていません。
- プロジェクト共有はサポートされていません。
- 現在、「アイテム自動検出(Autodiscover Items)」機能を使用すると問題が発生する可能性があります。問題が発生する場合は、サポートにご連絡ください。
移行できるアイテム
移行できるアイテムと移行されないアイテムについては、次の一覧を参照してください。
- 会議中のチャット
-
1対1のチャット
-
グループチャット
- チャットのタイトル
- リッチコンテンツとスタイル
- チャットの返信/スレッド
- 絵文字
- GIF
- ステッカー
- 長いテキスト
- フォーム
- Polly
- 保存されたメッセージ
- 履歴の可視性
- 非アクティブ化されたユーザーからのチャット
- 外部テナントのチャット
- Copilot chat
- チャットに直接貼り付けられた、ドキュメントや画像のリンク
移行元環境を準備する
次の必要な権限が付与されていることを確認してください。
- 権限を付与する前に、移行元エンドポイントのユーザーがMigrationWizのセキュリティグループのメンバーであるかを確認してください。
- チームのアプリケーション権限が付与されているかを確認してください。MigrationWiz-PCH-FullControl権限レベルを使用して、移行元でアプリケーション権限を付与します。
ユーザーをセキュリティグループに追加する
次の手順に従って、ユーザをセキュリティグループに追加してください。
- Microsoft 365管理ポータルで、「MigrationWiz」という名前の新しいセキュリティグループを作成します。セキュリティグループを作成する場合は、Microsoftのガイドを参照してください。
- 新しいユーザーを作成します。このユーザーアカウントは、有効なTeamsライセンスが割り当てられた、クラウド専用アカウントである必要があります。オンプレミス環境およびハイブリッド環境のユーザーアカウントはサポートされていません。
- 作成済みのセキュリティグループに、新しいユーザーをメンバーとして追加します。
重要
このユーザーに対しては、Active Directoryフェデレーションサービス(ADFS)および多要素認証(MFA)をオフにする必要があります。移行先環境を準備する
次の必要な権限が付与されていることを再確認してください。
- 移行先エンドポイントのユーザーアカウントに有効なTeamsライセンスが適用されていること、クラウド専用アカウントであることを確認します。
- チームのアプリケーション権限が付与されているかを確認してください。MigrationWiz-PCH-DelegateAccess権限レベルを使用して、移行先でアプリケーション権限を付与します。
MigrationWizでの手順
コラボレーション(プライベートチャット)プロジェクトの作成
重要
移行元または移行先のエンドポイントを設定する際、「Microsoft 365 資格情報の検証(Verify Microsoft 365 Credentials)」をクリックする前に、アプリケーションの承認/同意が行われていることを確認してください。確認を行わない場合、「Failed to verify Microsoft 365 Credentials(Microsoft 365資格情報の検証に失敗しました)」エラーが発生する場合があります。問題を解決するには、Teamsプライベートチャット - Failed to verify Microsoft 365 Credentials(Microsoft 365資格情報の検証に失敗しました)の記事を参照してください。
- 「マイ・プロジェクトへ」ボタンをクリックして、プロジェクトリストを開きます。
- 「プロジェクトを作成(Create Project)」をクリックします。
- 「コラボレーション(プライベートチャット)プロジェクト(Collaboration (Private Chats) Project)」を選択します。
- プロジェクト情報を更新します。
- 「プロジェクト名(Project Name)」を追加します。
- ドロップダウンリストから「顧客(Customer)」を選択します。
- 「次のステップ(Next Step)」をクリックします。
- 次の手順に従って、移行元エンドポイントを作成します。
- 「新規(New)」をクリックします。
- 「Microsoft Teams Private Chat (Source)」が選択されていることを確認します。
- Microsoft 365の認証情報を入力します。
- 「Microsoft 365資格情報の検証(Verify Microsoft 365 Credentials)」をクリックします。
- 「追加(Add)」をクリックします。
- 移行元のエンドポイント情報を確認し、「次のステップ(Next Step) 」をクリックします。
- 次の手順に従って、移行先エンドポイントを作成します。
- 「新規(New)」をクリックします。
- 「Microsoft Teams Private Chat (Destination)」が選択されていることを確認します。
- Microsoft 365の認証情報を入力します。
- 「Microsoft 365資格情報の検証(Verify Microsoft 365 Credentials)」をクリックします。
- 「追加(Add)」をクリックします。
- 移行元のエンドポイント情報を確認します。
- 「保存して概要へ移動」をクリックします。
ユーザーを追加する
ユーザーを移行対象として追加するには3つの方法があります。3つの方法のうちの1つ、または2つを使用します。プロセスを開始する前に、各オプションの説明をよくお読みください。
「アイテム自動検出(Autodiscover Items)」プロセスに従って、移動するすべてのユーザーのチャットを検索し、「クイック追加(Quick Add)」または「一括追加」を選択することをお勧めします。
一般的に、「クイック追加(Quick Add)」は小規模な移行、概念実証(POC)の移行、その他のテストに使用され、「一括追加」は大規模な移行および「完全移行(Full Migration)」サイクルに使用されます。
重要
「アイテム自動検出(Autodiscover Items)」は、移行元テナントでプライベートチャットを使用しているすべてのユーザーを検出します。「アイテム自動検出(Autodiscover Items)」が完了すると、検出されたすべてのユーザーは、ラインアイテムとしてインポート/入力するか、またはユーザーマッピングの管理のためにCSVファイルとしてダウンロードすることができます。検証後、同じCSVファイルをアップロードすることができます。
- 移行元メールアドレス
- 移行先メールアドレス
テナントから特定のグループのみを移行する場合は、「一括追加」オプションを使用することをお勧めします。このオプションを使用すると、1回に複数のユーザーを追加できます。
「一括追加」設定画面の表にアイテムを直接コピー、貼り付け、更新することで、移行元と移行先のアイテムをインポートすることができます。または、ユーザーの移行元メールアドレスと移行先メールアドレスを記載したCSVファイルを使用して、ユーザーをプロジェクトに追加することができます。このファイルは「アイテム自動検出(Autodiscover Items)」で取得するか、または独自で準備することもできます。
重要
独自のCSVファイルを使用して情報をインポートする場合は、テンプレートをダウンロードし、テンプレートの仕様に従って情報をコピー&ペーストすることを強くお勧めします。MigrationWizの「アイテム自動検出(Autodiscover Items)」を使用すると、移行元環境からアイテムを検出し、プロジェクトにインポートすることができます。
移行しないユーザーは、インポート後にプロジェクトを編集して削除することができます。追加されたすべてのユーザーの移行元および移行先のメールアドレスのフィールドには、移行元メールアドレスが表示されます。メールアドレスのドメインを変更するには、プロジェクトページ上部の「ドメイン名の変更(Change domain addresses)」ボタンをクリックします。移行中にユーザー名が変更される場合は、「一括追加」オプションの使用をお勧めします。
「アイテム自動検出(Autodiscover Items)」を実行する手順
- MigrationWizプロジェクトページで、「新しいアイテムを追加(Add New Items)」のドロップダウンをクリックし、「アイテム自動検出(Autodiscover Items)」をクリックします。
- 「自動検出を開始」をクリックします。
- 「アイテムを検出(Discover Items)」をクリックします。 MigrationWizによって、移行元のチームが検出されます。 認証/資格情報の検証が成功すると、「ステータス」列に「完了(Completed)」と表示されます。失敗すると、エラーメッセージが表示されます。
- CSVファイルをダウンロードするには、「CSVをダウンロード(Download CSV)」アイコンをクリックします。移行元で検出されたすべてのチームの情報が記載された、CSVファイルが生成されます。このCSVファイルは、「一括追加」の実行時に、アップロードして使用することができます。
- 「アイテムをインポート」をクリックします。移行元で検出されたチームが、ラインアイテムとしてプロジェクトに追加されます。デフォルトでは、移行先のチームのメールニックネームは、移行元のチームのメールニックネームと同じものが設定されます。
詳細オプション(Advanced Options)
プライベートチャットの移行に必要な「詳細オプション」はありません。
資格情報の検証(Verify Credentials)
ユーザーの追加後、資格情報を検証します。
- 検証するアイテムを含むプロジェクトを開きます。
- 検証するアイテムを選択します。
- ダッシュボードの「移行を開始」ボタンをクリックします。
- ドロップダウンリストから、「資格情報の検証(Verify Credentials)」を選択します。
検証が完了すると、検証結果が「ステータス(Status)」セクションに表示されます。 ステータスが「検証の完了(Completed (Verification))」に変わるのを待ちます。その後、残りの手順を行ってください。
プライベートチャット移行の概要
資格情報の検証後、ラインアイテム数の集計の表示を確認します。
- 移行前に「資格情報の検証(Verify Credentials)」のみを実行した場合、「プライベートチャット移行の概要(PRIVATE CHATS MIGRATION SUMMARY)」には、移行されたラインアイテム数はゼロ(0)と表示されます。
- 「完全移行(Full Migration)」の実行後に「資格情報の検証(Verify Credentials)」を実行すると、プライベートチャットの移行が保持され、「完全移行(Full Migration)」の概要が表示されます。
- 移行後に新しいラインアイテムを追加し、その後移行を行う前に「資格情報の検証(Verify Credentials)」を実行すると、移行されたラインアイテム数はゼロ(0)と表示されます。
移行を実行する
移行を開始する際は、以下のプロセスに留意してください。
- チェックボックスをクリックして、移行するラインアイテムを選択します。
- 「移行を開始」ドロップダウンをクリックし、「完全移行(Full Migration)」を選択します。
- 「プライベートチャット(Private chats)」チェックボックスが選択されていることを確認します。
- 「選択したユーザーをハイドレートチャットに追加する(Add selected user(s) to hydrated chats)」チェックボックスを選択します。
警告
「選択したユーザーをハイドレートチャットに追加する(Add selected user(s) to hydrated chats)」チェックボックスを選択しない場合、チャットに参加していたユーザーが追加されません。管理者のみが表示され、チャットはUserName1、UserName2などの名前で移行されます。
- 「移行を開始」をクリックします。
プライベートチャット移行の概要
エラーを解決する
様々なエラーが発生するため、移行エラーが発生した場合は、 「コラボレーション(Collaboration)」のエラー一覧を参照し、「解決策(Resolution)」に記載されている手順に従ってください。Teamsプライベートチャットの個別の移行エラーについては、Teamsプライベートチャットのトラブルシューティング(Troubleshooting Teams Private Chat)を参照してください。
移行が正常に完了したにもかかわらず、移行先のTeamsに表示されないメンバーがいる場合は、ユーザーの同期に時間がかかっている可能性があります。
「エラーの再試行(Retry Errors)」を実行する
移行されなかったアイテムは、エラーとしてログに記録されています。MigrationWizには、移行に失敗したアイテムを再移行する「エラーの再試行(Retry Errors)」モードが実装されています。このモードは、無料で使用することができます。メールボックス移行で「エラーの再試行(Retry Errors)」モードを使用するには、次の条件をすべて満たす必要があります。
- 直前の移行が正常に完了した。
- メールボックスに1つ以上のエラーが含まれている。
メールボックスが上記の条件を満たしていない場合は、「エラーの再試行(Retry Errors)」モードで移行を実行しようとしても、警告が表示され、移行を開始することはできません。
1つ以上のメールボックスを「エラーの再試行(Retry Errors)」モードで移行するには、次の手順を実行します。
- 「マイ・プロジェクトへ」ボタンをクリックします。
- 再試行したいラインアイテムを含むプロジェクトを選択します。
- 移行エラーが発生したアイテムを選択します。
- 「移行を開始」ボタンをクリックします。
- メニューから、「エラーの再試行(Retry Errors)」を選択します。
- 「エラーの再試行」ボタンをクリックします。
エラーは、修復されるとエラーログから消去されます。移行元アイテムが(フィルターなどにより)再処理されなかった場合や、すでに削除または移動されていた場合、あるいは再び移行に失敗した場合は、エラーが消去されないことがあります。
問題が解決しない場合は、サポート(Support)にお問い合わせください。
マルチサイクル移行(Multi-pass Migration)
Teamsプライベートチャットでマルチサイクル移行(Multi-pass Migration)を行うには、上記の制限を常に考慮する必要があります。
MigrationWizの移行は、新規チャットの2回目のサイクルとしてのみ行われます。移行が既に成功しているチャット内の新しいメッセージは、2回目のサイクルには含まれないことに留意してください。つまり、後続の移行サイクルでは新しいメッセージは移行されません。
警告
マルチサイクル移行は、クリーンアップ処理を実行していない場合にのみ実行できます。
移行後の手順
移行後、下記のオプションから1つ以上を実行してください。オプションを確認して、それぞれの手順に従ってください。
クリーンアップ
クリーンアップ機能は、移行したすべてのチャットスレッドから移行ユーザーのアカウントを削除します。 実行するには、以下の手順に従ってください。「移行を開始」のドロップダウンメニューをクリックし、「クリーンアップ(Clean Up)」を選択します。
警告
チャットから削除された移行ユーザーは、以降のサイクルで新しいメッセージを移行することができなくなります。この手順は取り消しできないため、確認してから実行してください。