「サポートオプション(Support Options)」では、移行をより簡単かつ効果的にするための追加オプションを使用することができます。プロジェクトによって使用可能なオプションが異なるため、移行タイプ別に、プロジェクトに最も有用なオプションを紹介します。
本記事では、各サポートオプションの機能、そしてそれらを最大限に活用する方法、および、各サポートオプションが動作する環境について説明します。
画面の横にあるナビゲーションメニューを使用して、特定のセクションに移動するか、「Ctrl+f」を使用して、移行ガイドまたは他のドキュメントからコピーしたオプションを検索してください。
サポートオプションの設定
MigrationWizの「サポートオプション(Support Options)」のセクションでは、次の項目に対してオプションを設定することができます:
- プロジェクト - プロジェクト内のすべてのアイテムに適用されます。
- 単一のラインアイテム- プロジェクト内の特定のアイテムにのみ適用されます。
プロジェクトに対してサポートオプションを設定するには:
- MigrationWizでプロジェクトを開きます。
- 上部の「プロジェクトの編集(Edit Project)」をクリックし、「詳細オプション(Advanced Options)」を選択します。
- 「サポートオプション(Support Options)」のセクションで、設定するサポートオプションを入力します。
- 「+」アイコンをクリックし、複数のサポートオプションを追加します。
- 「保存(Save)」をクリックします。
単一のアイテムに対してサポートオプションを設定するには:
- MigrationWizでプロジェクトを開きます。
- 編集するアイテムの右にある「アイテムの編集(Edit Item)」(鉛筆)アイコンをクリックします。
- 「サポートオプション(Support Options)」のセクションで、設定するサポートオプションを入力します。
- 「+」アイコンをクリックし、複数のサポートオプションを追加します。
- 「アイテムの保存(Save Item)」をクリックします。
サポートオプション
各オプションでは、必要な特定のコマンド、サポートされている環境、サポートされている移行タイプ、制限または重要な情報、および詳細説明が記述されています。これらのオプションの中には、既存のMigrationWizの設定や権限を上書きする場合があるため、使用される際はカスタマーサポート(Support)に問い合わせすることをお勧めします。
メールボックス移行のサポートオプション
連絡先候補(Suggested Contacts)を移行する
オプションコマンド:MigrateGmailSuggestedContacts=1
環境とシナリオ:G Suite
移行タイプ:メールボックス
詳細説明:Gmailの移行で、「その他の連絡先(Other Contacts)」を移行します。「その他の連絡先(Other Contacts)」を移行する場合、このオプションを有効にする必要があります。
Gmailのすべてのカレンダーを移行する
オプションコマンド:MigrateGmailAllCalendar=1
環境:G Suite
移行タイプ:メールボックス
詳細説明:ユーザーのすべてのカレンダーアイテムを移行します。デフォルトの設定ではこのオプションは使用されないため、ユーザーが所有するカレンダーアイテムのみが移行されます。
EWSのタイムアウト値を増やす
オプションコマンド:ExtendedEwsTimeout=1
環境:すべて
移行タイプ:メールボックス
詳細説明:EWSのタイムアウト値を10分に増やします(デフォルトは5分です)。
フォルダーのパス名の最大長を短縮する
オプションコマンド:ShrinkFoldersMaxLength=n
環境:メールボックス環境
移行タイプ:メールボックス
重要:「n」をリクエストURLの新規の文字数制限に置き換えます。
詳細説明:長いファイルパスは、「REQUEST URL TOO LONG」エラーや、他の問題を発生させる原因となります。このオプションによりURLの長さを短く制限することができます。
サポートされていないGoogleのプロパティ値を移行する
オプションコマンド:StoreOverflowGooglePropertiesInNotes=1
環境:Google
移行タイプ:メールボックス
詳細説明:連絡先の本文に、マッピングできない追加フィールド(追加の電話番号など)を追加して移行します。
指定した日数以前のカレンダー通知を抑制
オプションコマンド:SuppressReminderDays=X
環境:すべてのメール環境
移行タイプ:メールボックス
詳細説明:移行速度の低下の原因となる、以前のカレンダーイベントからのリマインダー通知を抑制します。
Zimbraのカレンダーのインスタンスを展開する
オプションコマンド:ZimbraCalendarExpandInstances=1
環境:Zimbra
移行タイプ:メールボックス
詳細説明:カレンダーのインスタンスを展開します。このオプションは、移行しているZimbraのカレンダーが欠落している場合に使用します。
受信者アドレスのマッピング
オプションコマンド:RecipientMapping="@Sourcedomain.onmicrosoft.com->@Destinationdomain.com"
環境 – 移行元:Exchange 2003以降、Office 365、Lotus Notes。条件付きでサポート:移行元がGoogleアプリケーションおよびZimbraの場合、このオプションは、カレンダーではサポートされていますが、メールでは、MIMEコンテンツに基づいているため、サポートされていません。
移行タイプ: メールボックス
重要:上記の受信者アドレスのマッピング表現は例です。そのままコピーしないでください。テナントの.onmicrosoft.comアカウント名と実際の移行先の顧客のカスタムドメイン名に変更してください。
受信者アドレスマッピングのサポートオプションを入力した後、必ず「+」ボタンをクリックしてください。「+」をクリックしないと、オプションは追加されません。
制限:実際のMIMEコンテンツの受信者アドレスマッピングはサポートされていないため、ZimbraなどのMIMEコンテンツベースのメールの移行では、メールアドレスの再マッピングは行われません。ほとんどのメールシステムで、MIMEコンテンツはメッセージの「詳細の表示(Show Details)」に表示されます。
詳細説明:左の部分は、受信者のメールアドレスに適用される正規表現(RegEx)です。受信者アドレスマッピングサポートオプションは、複数入力することが可能です。Office 365からOffice 365への移行において、このステップは非常に重要です。これにより、完全(差分)移行(Full (Delta) Migration)が行われた後に、メールを返信することが可能になります。
ドキュメント移行のサポートオプション
指定がない場合は既存の権限を削除する
オプションコマンド:RemoveExistingPermissionsWhenUnspecified=1
環境とシナリオ:GoogleドライブからOneDrive for Businessへの移行、または、GoogleドライブからDropboxへの移行。
移行タイプ:ドキュメント
詳細説明:このオプションを使用することにより、特定のタイプのドキュメント移行プロジェクト中に発生する、権限の競合の問題を解決することができます。これにより、新しい権限が追加される前に、移行先から既存の権限が削除されます。
移行先の形式に変換する
オプションコマンド:ShouldConvertToDestinationFormat=1
環境:移行先がGoogle ドライブの場合のみ
重要:このオプションは、移行したアイテムをGoogle形式で保持したい場合に使用されます。
詳細説明:このサポートオプションは、移行元のシステム形式を移行先の形式に変換します。
OneDriveのインポート・エクスポートURL
これらは一連のオプションです。移行プロジェクトによって、一部またはすべてが適用可能です。詳細については、サポート(Support)にお問い合わせください。
オプションコマンド:
データのエクスポート:
- OneDriveProExportUrl=https://tenant-my.sharepoint.com - 移行元がOneDriveの場合の移行(エクスポート)で、ドメイン、テナント、および拡張子の上書きオプションを提供します。OneDriveProでは、デフォルトでこれらの情報を判別します。曖昧な部分がある場合は、顧客やカスタマーサポートへ連絡し、詳細情報を入手してください。
- OneDriveProExportAdminUrl=https://myadmin.sharepoint.com -OneDriveProの管理URLが標準形式でなく、OneDriveProExportUrlから取得できない場合に必要となります。
データのインポート:
- OneDriveProImportUrl=https://tenant-my.sharepoint.com - 移行先がOneDriveの場合の移行(インポート)で、ドメイン、テナント、および拡張子の上書きオプションを提供します。
- OneDriveProImportAdminUrl=https://myadmin.sharepoint.com - 移行先がOneDriveの場合の移行(インポート)で、ドメイン、テナント、および拡張子の上書きオプションを提供します。
環境:OneDriveのみ
移行タイプ:移行元または移行先がOneDriveの場合のみ
重要:コマンドに記載されているURLは例です。環境に合わせてURLを置き換えてください。
詳細説明:管理者資格情報で移行元または移行先のターゲットOneDriveコンテナを確認できない場合は、これらのオプションを追加します。
メールのペア(Pairs)による権限のマッピング
オプションコマンド:MapPermissionEmailByPairsInProject=1
環境:OneDrive / Googleドライブ(移行先)
移行タイプ:移行先がOneDriveまたはGoogle ドライブの場合のみ
重要:通常、移行元と移行先でメールアドレスのプレフィックスが一致しない場合、アクセス権限を移行することはできません。サポートオプションの MapPermissionEmailByPairsInProject=1 を選択することにより、メールアドレスが一致しない場合でも、権限を移行することができます。
詳細説明:OneDriveまたはGoogleドライブが移行先の場合、このオプションを使用して、user@domain.comからfirstinitial.lastname@domain.comへ、プロジェクト内のペア(Pairs)に応じて権限をマッピングすることができます。
行政機関向けのOneDrive / Office365テナント
これらは一連のオプションです。移行プロジェクトによって、一部またはすべてが適用可能です。詳細については、サポート(Support)にお問い合わせください。
オプションコマンド:
ドイツ、中国、または米国政府のインスタンスからエクスポートするには、次のように入力します:
- OneDriveProExportEnvironment
次に、以下のいずれか1つを選択します:
- AzureGermanyCloud
- AzureChinaCloud
- AzureUSGovernment
ドイツ、中国、または米国政府のインスタンスにインポートするには、次のように入力します:
- OneDriveProImportEnvironment
次に、以下のいずれか1つを選択します:
- AzureGermanyCloud
- AzureChinaCloud
- AzureUSGovernment
環境:OneDrive/Office 365テナントのみ
移行タイプ:ドキュメント
重要:移行元または移行先が中国、ドイツ、米国政府のインスタンスの場合、必ずこのオプションを使用して移行を実行してください。
詳細説明:このオプションは、特殊なAzureインスタンス上でデータを移行するのに必要なURIを対象としています。
注:上記の移行インスタンスで、このオプションを使用しない場合、次のエラーが表示されます。
移行元の資格情報を確認できませんでした。(Your migration failed checking source credentials.)認証エラー(Authentication Error):ユーザー名またはパスワードが正しくありません。(Bad username or password.)別のコマンドレットを呼び出す前に、Connect-MsolServiceコマンドレットを呼び出してください。(You must call the Connect-MsolService cmdlet before calling any other cmdlets.)
このエラーが表示された場合は、移行を実行する前に、「プロジェクトの設定(Project Setup)」に戻り、適切なオプションと環境を入力してください。
初期化のタイムアウト値を増やす
オプションコマンド:InitializationTimeout=X
このオプションには、必要に応じて次のパラメーターを設定することができます。
時間:
- InitializationTimeout=2は、タイムアウトを2時間に増やします。
- InitializationTimeout=4は、タイムアウトを4時間に増やします。
- InitializationTimeout=8は、タイムアウトを8時間に増やします。
ミリ秒:
- InitializationTimeout=7200000は、タイムアウトを2時間に増やします。
- InitializationTimeout=14400000は、タイムアウトを4時間に増やします。
- InitializationTimeout=28800000は、タイムアウトを8時間に増やします。
環境:すべて
移行タイプ:ドキュメント
重要:この値は時間単位で、最大は100時間です。 100を超える値を設定すると、ミリ秒単位として解釈されます。
詳細説明:このオプションは、タイムアウト制限をX時間に増やします。
同名のファイルがある場合、ファイル名を変更して移行する
オプションコマンド:RenameConflictingFiles=1
環境:OneDrive
移行タイプ:ドキュメント
詳細説明:移行先に既に同名のファイルがある場合、競合を回避するため、ファイル名を変更して移行します。
ドキュメント閲覧モードの設定
オプションコマンド:DocumentBrowsingMode=Moderate
次のモードのいずれかを設定します。FullCopy | Strict (デフォルト) | Moderate
移行ガイドで特に説明がない場合、FullCopyを使用する前にサポートに連絡してください。
環境:すべて
移行タイプ:ドキュメント
詳細説明:MigrationWizがドキュメントのスキャンに使用する閲覧方法を定義します。フォルダーは、所有者に基づいて移行されます。
競合エラーを無視する
オプションコマンド:IgnoreConflictingFiles=1
環境:OneDrive/SharePoint
移行タイプ:ドキュメント
詳細説明:OneDrive(Sharepoint)で、FileAlreadyExistsの例外をスキップするためにこの値を設定します。
リストビューのしきい値を無視する
オプションコマンド:IgnoreListViewThreshold=1
環境:すべて
移行タイプ:ドキュメント
詳細説明:特定のフォルダーのリストビューがしきい値(> 5000アイテム)を超える場合でも、ユーザーは移行を続行することができます。このオプションが設定されていない場合、エラーがログに記録され、移行が停止します。
外部ユーザーの権限を移行する
オプションコマンド:MigrateExternalUserPermissions=1
環境:Googleドライブ、Dropbox
移行タイプ:ドキュメント
詳細説明:外部ユーザーの権限移行のフォールバックを有効にします。
指定がない場合は既存の権限を削除する
オプションコマンド:RemoveExistingPermissionsWhenUnspecified=1
環境:すべて
移行タイプ:ドキュメント
詳細説明:このオプションは、特定のタイプのドキュメント移行プロジェクト中に発生する権限の競合の問題を解決するために使用されます。新しい権限を追加する前に、移行先から既存の権限を削除します。
パブリックフォルダー移行のサポートオプション
表示名による権限照合を使用する
オプションコマンド:UseDisplayNamePermissionMatching
環境:すべて
移行タイプ:パブリックフォルダー
詳細説明:このオプションでは、パブリックフォルダーの権限移行に際し、アカウントに基づく権限のマッピングではなく、表示名に基づいて権限をマッピングします。
パブリックフォルダーが存在する場合にインポートフォルダーをスキップする
オプションコマンド:SkipImportFolderWhenPublicFolderExists=1
環境:パブリックフォルダー環境
移行タイプ:パブリックフォルダー
詳細説明:既に存在しているパブリックフォルダーに対し、ImportFolderの更新プロセスを省略します。これにより、権限の検証とメールが有効な状態かどうかの検証が省略されます。
パブリックフォルダーの権限にすべてのメールボックスタイプを許可する
オプションコマンド:AllowAllMailboxTypesForPFPermissions=1
環境:すべて
移行タイプ:パブリックフォルダー
詳細説明:セキュリティグループの権限の移行を許可します。
パブリックフォルダーのメールを有効化しない
オプションコマンド:DoNotMailEnablePublicFolders=1
環境:すべて
移行タイプ:パブリックフォルダー
詳細説明:この値を設定すると、移行中にメールを有効にする必要があるパブリックフォルダーのメール有効化をスキップします。
フォルダータイプに基づいたフィルターを削除する
オプションコマンド:RemoveFilterBasedOnFolderType=1
環境:すべて
移行タイプ:パブリックフォルダー
制限:このオプションは、パブリックフォルダー移行でのみ機能します。
詳細説明:インポート中にフォルダータイプに基づいたフィルターを削除して、フォルダー内に複数のタイプのアイテム(メールフォルダー内にカレンダーアイテムなど)をインポートできるようにします。
ウォーターマーク完成状態を維持する
オプションコマンド:MaintainWatermarkCompletionState=1
環境:すべて
移行タイプ:パブリックフォルダー
詳細説明:このオプションを使用すると、MigrationWizは、移行全体でウォーターマークの入ったフォルダーの完成状態を維持することができ、その後の移行でそのフォルダーが再移行されることはありません。
すべての移行タイプで設定可能なサポートオプション
フォルダーマッピング
オプションコマンド:FolderMapping="^FolderName->FolderName2"
環境:すべて
移行タイプ:すべて
詳細説明:移行先で、フォルダーパスを再マッピングします。左の部分は、フォルダーパスに適用される正規表現です。
コラボレーション移行のサポートオプション
ユーザーマッピング
オプションコマンド:UserMapping="user1@source.com->user.one@destination.com
環境:Teams
移行タイプ:コラボレーション
詳細説明:移行先に対して、移行元と違うユーザ名への移行を可能とします。
PST移行のサポートオプション
PSTカスタムエンドポイントサフィックス
オプションコマンド:PSTCustomEndpointSuffix=Azure URI
環境:PST
移行タイプ:PST
重要:デフォルトのMigrationWiz設定を上書きします。
詳細説明:PSTが非標準のAzureロケーションを使用することを許可します(例:core.chinacloudapi.cn、 core.cloudapi.de、 core.usgovcloudapi.us)。これにより、MigrationWiz UI設定が上書きされます。