以下の記事は、Googleドライブの移行に関するよくある質問に対する回答です。メールボックスの移行に関する質問の回答は、「G Suiteの移行」を参照してください。
ドキュメントの管理
他のユーザーのフォルダーに自分のドキュメントがある場合
詳しい説明については、次の例を参照してください。
Aliceは、別なユーザーBobが所有する「キックオフミーティング」という名前のフォルダーにアクセスできます。Aliceがこのフォルダーに「summary.docx」という名前のドキュメントを作成すると、親フォルダーの所有者ではありませんが、「summary.docx」の所有者になります。
この場合、ドキュメントの移行 (権限を含む) は次のように行われます。
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- 各ユーザーが所有するすべてのフォルダーを確認し、それぞれのフォルダーに、そのユーザーが所有するすべてのファイルを移行します。
- 次に、移行された各フォルダーとファイルについて、対応する権限を取得して適用します。
移行中に発生する処理は次のとおりです。
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- Aliceは「キックオフミーティング」フォルダーを所有していないので、Aliceの移行中にはこのフォルダーは移行されません。結果として「summary.docx」は移行されません。
- Bobは「キックオフミーティング」フォルダーを所有しているので、Bobの移行中にこのフォルダーは移行されます。しかし、「summary.docx」を所有していないので、このファイルは移行されません。
ここではデフォルトモードでのMigrationWizの動作について説明しています。GoogleドライブからOneDrive for Businessへの移行では、デフォルトモードではなく、以下で説明するModerateモードを使用することをお勧めします。
ドキュメントの形式
フォーマット変換
MigrationWizは、ネイティブのGoogleドキュメント形式を、可能な限りOfficeと同等の形式に変換します。また、Googleの権限は、Microsoft OneDriveの最も近い同等の権限に移行します。逆方向の変換の場合も同様です。
フォーマットの変換方法:
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- Googleドキュメントは、Microsoft Word (.docx)形式に変換されます。
- Googleスプレッドシートは、Microsoft Excel (.xlsx)形式に変換されます。
- Googleスライドは、Microsoft PowerPoint (.pptx)形式に変換されます。
- Googleフォームは、html形式に変換されたフォームとcsv形式に変換された回答を含むzipファイルとして移行されます。バージョンはフォームでサポートされていません。
- Googleの図形描画は.jpg形式に変換されます。変換されたドキュメントは移行後に編集することはできません。
Microsoft OneDriveとGoogleドライブのドキュメント移行では、双方向で変換が行われます。例えば、Word形式はGoogleドキュメント形式に変換されます。
その他の考慮すべき点:
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- バージョン履歴は移行されません。
- コメントは移行されません。
- 作成日(作成日は、「移行した日」の日付に変更されます。)
- 権限は、可能な限り近いOfficeの権限に変換されます。例えば、Google の「ウェブに公開(public on the web)」は「すべてのユーザー(everyone)」に変更されます。
- Googleの「コメント可(can comment)」権限には、同等の権限がないため削除されます。
Google DriveからGoogle Driveへの移行:
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- 移行元がGoogleドライブ形式の場合、移行先の新しいGoogleドライブに移行されるファイルは、現在のGoogleファイル形式を保持します。
- Googleドライブ内の移行元ファイルがMicrosoft形式の場合は、新しいGoogleドライブに移行されてもMicrosoft形式をそのまま保持します。
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Googleファイル形式をMicrosoft形式に変換するには、サポート オプション「ShouldConvertToO365Format=1」をプロジェクトに追加します。
ドキュメントには、Googleドライブが変換できない種類のアイテムが含まれている場合があります。これは、対象のアイテムをGoogleのインポートツールがサポートしていない場合に発生します。そのため、Google形式への変換は行われません。このような場合、MigrationWiz はドキュメントをバイナリ形式でアップロードし、元のMIME形式を維持します。このように、Googleドライブへの移行の際に、ファイルがGoogle形式に変換されない場合があります。
Microsoft OneDriveからGoogleドライブへの移行:
変換の詳細オプションが設定されている場合、MigrationWizは移行元と移行先システムの動作を近づけるために、すべてのドキュメントを可能な限り自動的に変換します。
権限
移行先に存在しないユーザーの権限の移行
Googleドライブが移行先の場合、デフォルトでは、移行元と移行先の両方のドメインに存在するユーザーについてのみ、ユーザーの共有を保持します。
したがって、ユーザーが移行先に存在しない場合は、次の「詳細オプション(Advanced Options)」を追加する必要があります。 MigrateExternalUserPermissions=1
このフラグを設定すると、次の処理が行われます。
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- 移行元ドメインに存在するユーザーが移行先に存在しない場合でも、移行先ユーザーのメールアドレスが確認できると、「外部共有」を使用して移行します。移行中にユーザーの移行先メールアドレスに通知が行われます。
- 移行中に移行先ユーザーのメールアドレスが確認できない場合は(Googleドライブ間の移行でも同様)、ユーザーIDに基づいて共有を移行します。
重要: 外部共有の場合、メール通知が外部ユーザーに送信されます。これはGoogle APIの要件です。
グループ権限
Google DriveからGoogle Driveへの移行に限って有効な内容です。
グループ権限は、「詳細オプション(Advanced Options)」 MapPermissionEmailByPairsInProject=1 を使用している場合でも、移行元に存在しているとおりに自動的に移行されます。
移行先の権限を変更するには、「詳細オプション(Advanced Options)」 SkipGroupPermissionIfNoMatchFound=1 を使用することができます。これは、移行先のグループ権限を移行元と異なるものにしたい場合(会社やグループに変更があった場合など)に役立ちます。このオプションを使用した際の動作は次のとおりです。
- このオプションを指定せずに初期移行サイクルを実行し、次のサイクルでこのオプションを追加すると、グループが二つ存在する状態になります。一つは移行元環境に存在する移行元グループで、もう一つは移行先グループです。
- サブフォルダーやファイルは、Googleドライブ内の権限を継承します。このような二次的な権限は、移行元でサブフォルダーへの権限が削除されても、移行の一部として自動的に移行されます。
- 移行を再実行する前に、移行元ドライブのフォルダー/ファイルの権限を削除すると、移行先ドライブ内のファイルに対する権限のみが削除されます。移行先のフォルダーおよびサブフォルダーに対する権限は削除されません。
ドキュメント閲覧モード
DocumentBrowsingModeオプションの選択にかかわらず、MigrationWizは移行元アドレスの 「マイドライブ(My Drive)」ラベルのみをスキャンします。「共有アイテム(Shared with Me)」ラベルは、別のアカウントの「マイドライブ」に保存されているオブジェクトのうち、特定のアカウントがアクセス可能なものを参照するためのフィルターです。
「マイドライブ」は、各アカウントのすべてのファイルとフォルダーの保存先です。Googleドライブでは、「マイドライブ」内のスペースを別のユーザーと共有することができます。これにより、Driveインスタンスでのアイテムの作成と所有が可能になります。
MigrationWizには、移行に使用できる 3つの「モード」があります。
- Strictモード (詳細オプションの設定がない場合のデフォルト)
- Moderateモード
- Full copyモード
Strictモード
- 「マイドライブ」をスキャンして、移行プロジェクトの移行元メールアドレスを特定します。
- そのアカウントが所有するフォルダーのみを移行します。そして、そのフォルダー内のファイルのうち、アカウントが所有するファイルのみを移行します。
- アカウントが所有していないフォルダーに、アカウント所有のサブフォルダーがある場合、擬似フォルダーが移行先に作成され、移行後も適切な機能が維持されます。アカウントが所有していないフォルダー内のファイルは、移行されません。
- アカウントが所有しているフォルダーと、そのフォルダー内のすべてのドキュメントの共有権限も移行されます。
- 別のユーザーが所有するフォルダーやファイルは移行されません。
Moderateモード
- 「マイドライブ」をスキャンして、移行プロジェクトの移行元メールアドレスを特定します。
- そのアカウントが所有するフォルダーのみが移行されます。ただし、フォルダー内のファイルについては、所有権に関係なく、すべてのファイルが移行されます。
- アカウントが所有していないフォルダーに、アカウント所有のサブフォルダーがある場合、擬似フォルダーが移行先に作成され、移行後も適切な機能が維持されます。アカウントが所有していないフォルダー内のファイルは、移行されません。
- フォルダーおよびドキュメントの共有権限も移行されます。
- 別のユーザーが所有するフォルダー内のファイルは、移行されません。
古いテナントが「マイドライブに追加(Add to my drive)」オプションをサポートしている場合:
- Moderateモードを使用する
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所有しているフォルダーの移行にもModerateモードを使用する必要があります。
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Full Copy
- 「マイドライブ」をスキャンして、移行プロジェクトの移行元メールアドレスを特定します。
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新しいテナントが「マイドライブに追加(Add to My Drive)」をサポートしていない場合は、「Full Copy」を使用する必要があります
- 所有権に関係なく、「マイ ドライブ」内のすべてのフォルダーとファイルを移行します。
- 移行前に、権限の選択を解除する必要があります。 Full Copyを使用する場合、同じオブジェクトが複数のアカウントに移行される可能性があります。権限が選択されている状態では、ユーザーは同じドキュメントの複数のコピーにアクセスすることが可能です。
すべてのアイテムが適切な権限で移行されるようにするには、アイテムに関連付けられているすべてのユーザーを移行先に移行する必要があります。
Googleドライブのユーザーインターフェイスで 「マイ ドライブに追加(Add to My Drive)」オプションが使用できなくなりました。アイテムを複数のフォルダーに配置することはできなくなり、親フォルダーに強制的に配置されます。詳細については、Google のドキュメントを参照してください。
Full Copyモードを使用したGoogleドライブからGoogleドライブへの移行
移行元のGoogleドライブのアイテムが複数の場所にあったり、複数の親フォルダーを所持している場合、アイテムは移行先の複数のフォルダーに複製されます。複製されたアイテム間でリンクや同期は行われません。
ModerateまたはFull Copyモードを有効にする
ModerateまたはFull Copyモードを使用するには、次の手順に従ってください。
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- 「プロジェクトの編集(Edit Project)」をクリックします。
- MigrationWizプロジェクトから「詳細オプション(Advanced Options)」を 選択 します。
- 「サポート(Support)」セクションに次のオプションのいずれかを追加します。
DocumentBrowsingMode=Moderate
DocumentBrowsingMode=FullCopy
これにより、選択したオプションを使用して移行が実行されます。
トラブルシューティング
一部のドキュメントがGoogle形式に変換されない
Googleを移行先に設定している場合、Googleドライブは、ドキュメントの内容によっては変換を行わない場合があります。一部の機能や文字は、Googleインポートツールでサポートされていないため、Googleドキュメント形式に変換できません。
Google形式に変換できないドキュメントは、正しいMIMEタイプを維持した状態でバイナリとして移行する必要があります。そのようなファイルも、問題なく開いたりダウンロードしたりできますが、Googleドキュメント形式としては表示されません。