本記事では、Google共有ドライブからSharePoint Onlineドキュメントライブラリへの移行のワークフローについて説明します。本移行シナリオでは、「共有ドキュメントライセンス(Shared Document License)」を使用します。2要素認証あるいは多要素認証を使用した移行は、サポートしていません。移行先エンドポイントがSharePoint Onlineの場合、GCC Highの移行はサポートしていません。
既知の動作や制限がある他のシナリオについては、本記事の最後で説明します。
初めての移行
移行を初めて実行する際は、本ガイドの手順を開始する前に、移行計画と戦略を参照してください。移行の計画と設定、および一般的な移行のベストプラクティスについて説明しています。
MigrationWiz
MigrationWizは移行ツールであり、同期ツールではありません。MigrationWizには、(同期エージェントのような)「ライブ」での変更のモニタリング機能はなく、ユーザーの操作なしに競合解決などを処理することはできません。
MigrationWizでは、移行可能な最大ファイルサイズは、移行タイプと環境によって異なります。ただし、60GBを超えるファイルを移行することはできません。
- ファイル
- フォルダー
- 権限
- バージョン(最大25)
- メタデータ
- ファイル名/フォルダー名
- 更新日(移行された最新バージョンの更新日)
- 更新者
- 作成日(移行された最新バージョンの作成日)
- 説明は、移行先の「タイトル」列に移行されます。移行できる文字数は、「タイトル」フィールドの現行の文字数制限内に限られます。
- 「作成者」のメタデータは移行されますが、内容が正確でない場合があります。現在のところ、これを回避する方法はありません。
- ショートカットは、ターゲットファイルが同じ共有ドライブ内に存在する場合、.URLファイルとして移行先のドキュメントライブラリに移行されます。ショートカットは、関連するすべてのドキュメントと権限が移行された後に、後続の移行ステップで移行されます。
- 現在は15GBを超える移行もサポートしていますが、実行するには「詳細オプション(Advanced Options)」での設定が必要になります。この設定により、インポートの完了に10分以上かかる場合のタイムアウトエラーを防ぐことができます。
- 「LargeFileMigrations=1」を設定します。
- 「LargeFileMigrationsTimeout=7200000」を設定します。
- 「7200000」という値は一例です。時間はミリ秒単位で測定されます。
- 一部のGoogle独自のフォーマットのファイル(ドキュメント、スプレッドシート、スライドなど)では、ファイルのバージョンにカスタム名を指定することができます。このようなカスタム名を使用したバージョン名は、移行されません。
- Google独自のフォーマットのファイルで利用可能なマイナーリビジョンは、移行されません。
- Googleサイト、マップ、Apps Scriptのファイルは、サポートしていません。
- Googleドキュメント、スプレッドシート、スライドに埋め込まれた動画/ハイパーリンクは、Google独自のファイルがMicrosoft 365のフォーマットに変換される過程で、正確に移行されない場合があります。
- .TMPファイルは、サポートしていません。
- ショートカットは、ターゲットファイルが移行先に存在しない場合、移行されません。
- Googleフォームのバージョンは、サポートしていません。
- Google図形描画ファイル(画像に変換されたファイル)のバージョンは、正しく移行されません。移行されたすべてのバージョンで、最新バージョンと同じコンテンツが表示される場合があります。これは、現行のAPIの制限によるもので、現在のところ回避する方法はありません。
- アクセス用のリンク/リンク共有
移行元環境を準備する
GoogleサービスアカウントとAPIスコープを設定する
Googleプロジェクトを作成する
- Google Cloud Platform (GCP)コンソールに移動し、特権管理者としてログインします。次のいずれかの方法を選択します。
- Google Cloud Platformコンソールを初めて使用する場合は、利用規約に同意し、「プロジェクトを作成(Create Project)」をクリックします。
- 以前にGoogle Cloud Platformコンソールを使用したことがある場合は、画面上部の最新のプロジェクト名の横にある「下へ(Down)」をクリックして、プロジェクトリストを開きます。「新しいプロジェクト(New Project)」をクリックします。
- プロジェクト名を入力し、「作成(Create)」をクリックします。
プロジェクトを作成できない場合、テナントのプロジェクト作成機能が無効になっている可能性があります。これを確認するには、Google管理コンソールに移動して、「アプリ(Apps)」 > 「その他のGoogleサービス(Additional Google Services)」をクリックし、「Google Cloud Platform」を選択します。ユーザーにプロジェクトの作成を許可するための設定項目が表示されます。
サービスアカウントのAPIを有効にする
- Google Cloud Platformコンソールで、「メニュー(Menu)」 > 「APIとサービス(APIs & Services)」 > 「ライブラリ(Library)」をクリックします。
- 以下のAPIを選択し、「有効にする(Enable)」をクリックします。
1つずつ操作を繰り返して、すべてのAPIを有効化します。 - Google Drive API
- Admin SDK
顧客のテナントでサービスアカウントを作成する
- Google Cloud Platformコンソールで、「メニュー(Menu)」をクリックします。
- 「IAMと管理(IAM & admin)」 をクリックします。
- 「サービスアカウント(Service accounts)」をクリックします。
- 「サービスアカウントを作成(Create service account)」をクリックして、名前を入力します。
- 「役割(Role)」ドロップダウンメニューから「オーナー(Owner)」を選択して、新しいサービスアカウントにオーナーの役割を付与します。
- 「完了(Done)」をクリックして、サービスアカウントの作成を完了します。
- 「サービスアカウント(Service accounts)」のページで、上記の手順で作成したサービスアカウントの「操作(Actions)」列の下にある縦の3点リーダーをクリックします。
- 「キーを作成(Create key)」をクリックします。
- JSON形式が選択されていることを確認し、「作成(Create)」をクリックします。
- キーは必ずJSONファイルとしてダウンロードし、ファイルの名前と保存場所を書き留めてください。このJSONファイルは、移行プロジェクトで移行元エンドポイントを設定する際に使用します。
- JSONファイル内の「type」、「private_key」、「client_email」の各フィールドに、情報が含まれている必要があります。これらのフィールドは必須で、空欄になっていると、エンドポイント作成時にファイルのアップロードが成功しません。
移行のスコープを設定する
- Google Cloud Platformコンソールで、「メニュー(Menu)」をクリックします。
- 「IAMと管理(IAM & admin)」 をクリックします。
- 「サービスアカウント(Service accounts)」をクリックします。
- 上記の手順で作成したサービスアカウントを特定します。
- サービスアカウントの「一意のID(Unique ID)」フィールドの値(番号)をコピーします。この値は、後の手順でクライアントIDとして使用します。
- 「一意のID(Unique ID)」フィールドを表示するには、ビューへの追加が必要になる場合があります。「列表示オプション(Column display options)」ボタンをクリックし、「一意のID(Unique ID)」のチェックボックスをオンにして、「OK」をクリックします。
- クライアントIDは、管理者アカウントのパスワードと同様に、厳重に管理してください。
- Google Workspaceの管理ページadmin.google.comに移動します。
- 「セキュリティ(Security)」 > 「アクセスとデータの制御(Access and data control)」 > 「APIの制御(API controls)」をクリックします。
- 「APIの制御(API controls)」ページで、「ドメイン全体の委任(Domain-wide delegation)」セクションを特定します。
- 「ドメイン全体の委任を管理(Manage domain-wide delegation)」をクリックします。
- 「新しく追加(Add new)」 をクリックします。
- 「クライアントID(Client ID)」フィールドに、サービスアカウントの「一意のID(Unique ID)」を入力します。
- 「OAuthスコープ(OAuth scopes)」フィールドに、次のスコープを入力します。
https://www.googleapis.com/auth/drive, https://www.googleapis.com/auth/admin.directory.group.readonly, https://www.googleapis.com/auth/admin.directory.user.readonly, https://www.googleapis.com/auth/admin.directory.domain.readonly
- 「承認(Authorize)」をクリックします。
移行元の共有ドライブのメンバーシップ権限の要件
- 移行元の共有ドライブに、閲覧者/コメント投稿者以上の権限ロールを持つ移行元テナントのアクティブメンバーがいることを確認します。
- 最良の結果を得るには、マネージャーの権限ロールを持つ移行元テナントのアクティブメンバーの少なくとも1人が、共有ドライブのメンバーであることが推奨されます。
Azure環境を準備する
Microsoft提供のAzureストレージ
本移行では、Microsoftが提供するAzureストレージの使用をお勧めします。詳細については、 Microsoftのドキュメントを参照してください。Microsoft提供のAzureストレージを使用する場合は、本セクションをスキップして、「移行先環境を準備する」に進んでください。
お客様所有のAzureストレージ
お客様が所有するAzureストレージを使用する場合は、次の手順に従って、Azure環境を準備してください。移行先のMicrosoft 365テナントと同じMicrosoftデータセンターに、Azureストレージアカウントを作成することをお勧めします。移行のためにAzureコンテナーを作成する必要はありません。
- Azureストレージのコストを見積もります。この手順は任意ですが、顧客に事前にストレージのコストを提供する際に有用です。
- Azureサブスクリプションを購入します。(または、1か月間無料の試用版を使用します。試用版では、移行できるデータ量が少ないため、注意が必要です。)
Azureストレージアカウントを作成する
Blob Storageではなく、「STORAGE(汎用v2)」アカウントを作成してください。
- ストレージアカウント名とプライマリアクセスキーを書き留めます。(Azure内のストレージ画面で、下部にある「アクセスキーを管理(Manage Access Keys)」をクリックします。) これらの情報は、MigrationWizの移行プロジェクトで、移行先を設定する際に必要となります。
Azureストレージアカウントの作成方法
- Azureポータルにアクセスします。
- 「新規(New)」をクリックします。
- 「ストレージ(Storage)」を選択します。
- 「ストレージアカウント(Storage account)」を選択します。
- ストレージ アカウント名を入力します。
- デプロイメントモデルに「リソースマネージャー(Resource manager)」を選択します。
- 「STORAGE(汎用v2)」を選択します。
- ストレージアカウント名(-accesskey、例: “accountname”)とプライマリアクセスキー(-secretkey、例: “W1RrDfkPNkfYfdVqizMNJjn5mXchwMP5uYBY8MsMqWTA7EubG911+4fZlki0Gag==“)を書き留めます。
- 「レプリケーション(Replication)」フィールドで、「ローカル冗長ストレージ(Locally Redundant Storage)(LRS)」を選択します。
- 新しいストレージアカウントを作成するサブスクリプションを選択します。
- 新しいリソース グループを指定するか、既存のリソース グループを選択します。
- ストレージ アカウントの地理的な位置を選択します。
- 「作成(Create)」をクリックして、ストレージアカウントを作成します。
ストレージアカウントが、ストレージリストに表示されます。
移行先環境を準備する
- 移行に使用するSharePoint Online管理者またはサイトコレクション管理者のアカウントを作成するか、テナントのグローバル管理者アカウントを使用します。
- SharePointサイトを作成し、ドキュメントライブラリが保存されているサイトのURLを書き留めます。
- 移行先のSharePoint Onlineサイトにドキュメントライブラリを作成します(任意)。作成方法については、次のMicrosoftの手順に従ってください: ドキュメントライブラリを作成する
- 必要なすべてのユーザー/グループ(外部ユーザーがいる場合は、それを含む)が、移行先のSharePointサイトに設定され、移行先のドキュメントライブラリの使用が可能になっていることを確認します。
SharePointのアプリケーション権限
移行先の権限レベルを設定する手順は、次の通りです。この認証プロセスでは、移行先へのアクセス権をどのユーザーに付与するかを制御することができます。
- グローバル管理者としてサインインしていることを確認します。
- MigrationWiz-SharePoint-FullControlに移動し、プロンプトが表示されたら、アプリによるアクセスに同意します。
- Microsoft 365管理ポータルで、「MigrationWiz」という名前の新しいセキュリティグループを作成します。
- 新しいユーザーを作成します。
- 上記の手順で作成したMigrationWizセキュリティグループに、新しいユーザーをメンバーとして追加します。
- これらの資格情報は、移行先エンドポイントを設定する際に使用するため、書き留めておきます。
権限を削除する手順については、後述の「移行後の手順」セクションで説明します。
MigrationWizでの手順
ライセンス
本移行シナリオでは、「共有ドキュメントライセンス(Shared Document License)」を使用します。
- プロジェクトのラインアイテムごとに1つのライセンス(つまり、Google共有ドライブからSharePoint Onlineドキュメントライブラリへの移行ごとに1つ)
- データ制限:1ライセンスあたり50GB
ライセンスの購入方法
- BitTitanアカウントにサインインします。
- 上部のナビゲーションバーで、「購入(Purchase)」をクリックします。
- 必要なライセンスタイプの「選択(Select)」ボタンをクリックします。
- 購入するライセンス数を入力します。「今すぐ購入(Buy Now)」をクリックします。
- 必要に応じて「請求先住所(Billing Address)」を入力します。
- 「次へ(Next)」をクリックします。
- 「注文内容(Order Summary)」を確認し、支払い方法を入力します。
- 「購入する(Place Your Order)」をクリックします。
支払いが受領されると、ライセンスが発行されます。
- クレジットカードで購入した場合、決済後すぐにライセンスが使用可能になります。
- 電信送金(100ライセンス以上)による購入の場合は、支払いが受領され、承認された後に、ライセンスが使用可能になります。
ドキュメント移行プロジェクトを設定する
- MigrationWizアカウントにサインインします。
- 「マイ・プロジェクトへ」をクリックします。
- 「プロジェクトを作成(Create Project)」をクリックします。
- 「ドキュメントプロジェクトを作成(Create a Document Project)」をクリックします。
- 「次のステップ」をクリックします。
- 「プロジェクト名(Project Name)」を入力し、「顧客(Customer)」を選択します。
- 「次のステップ」をクリックします。
- 「移行元の設定」で、「エンドポイント(Endpoint)」ドロップダウンメニューから、移行元エンドポイントを選択します。
- 該当する移行元エンドポイントがリストにない場合は、「新規」をクリックして、移行元エンドポイントを作成する必要があります。次のフィールドに入力して、新しい移行元エンドポイントを設定します。
- エンドポイント名(Endpoint Name):任意の名前を入力してください。エンドポイントが複数ある場合は、名前を書き留めておくことをお勧めします。検索によって表示されるのは、上位10のエンドポイントのみになります。
- エンドポイントタイプ(Endpoint Type): 「エンドポイントタイプ(Endpoint Type)」ドロップダウンリストから、「Google Shared Drives」を選択します。
- サービスアカウントの資格情報(Service Account Credentials): サービスアカウント用に作成されたJSONファイルを選択します。
- 特権管理者ユーザー名(Super Administrative Username): 移行元テナントの特権管理者のメールアドレスを入力します。
- 「追加(Add)」をクリックします。
- 「次のステップ」をクリックします。
- 「移行先の設定( DESTINATION SETTINGS)」で、「エンドポイント(Endpoint)」ドロップダウンメニューから、移行先エンドポイントを選択します。
- 該当する移行先エンドポイントがリストにない場合は、「新規」をクリックして、移行先エンドポイントを作成する必要があります。次のフィールドに入力して、移行先エンドポイントを設定します:
- エンドポイント名(Endpoint Name):任意の名前を入力してください。エンドポイントが複数ある場合は、名前を書き留めておくことをお勧めします。検索によって表示されるのは、上位10のエンドポイントのみになります。
- エンドポイントタイプ(Endpoint Type): 「エンドポイントタイプ(Endpoint Type)」ドロップダウンリストから、「SharePoint Online」を選択します。
- SharePoint OnlineテナントのURL(SharePoint Online Tenant URL): 移行先のSharePointテナントのURLを入力します。
- Microsoft 365のユーザー名(Microsoft 365 Username) / Microsoft 365のパスワード(Microsoft 365 Password): 移行を実行する権限を持つ、移行先テナントのユーザーのメールアドレスとパスワードを入力します。
- 移行先テナントのMigrationWizセキュリティグループに追加されたMicrosoft 365ユーザーの資格情報を使用します。
- 「追加(Add)」をクリックします。
- 「保存して概要へ移動」をクリックします。
- 「保存」をクリックします。
ラインアイテムを追加する
アイテムの追加方法は、3つあります。以下のいずれかの方法を選択し、手順に従ってください。
アイテム自動検出(Autodiscover Items)
「アイテム自動検出(Autodiscover Items)」オプションを使用すると、移行元環境で利用可能な共有ドライブを検出することができます。検出された共有ドライブは、ラインアイテムとしてプロジェクトにインポートすることができます。共有ドライブに関連付けられたIDも、ラインアイテムに紐づけられます。
「アイテム自動検出(Autodiscover Items)」プロセスで、MigrationWizがGoogleドライブまたはGoogle共有ドライブにアクセスするには、移行元エンドポイントの管理者アカウントに、適切なGoogle Workspaceライセンスが割り当てられている必要があります。
移行元の共有ドライブがラインアイテムとしてプロジェクトにインポートされると、同じ値のドキュメントライブラリが移行先に設定されます。ラインアイテムを編集し、移行先のドキュメントライブラリを適切な値またはパスに更新してください。移行先のドキュメントライブラリパスのキャプチャについては、次のセクションを参照してください。
一括追加
このオプションを使用すると、スプレッドシートからコピーして貼り付けたり、CSVファイルをインポートすることにより、複数のアイテムを一度に追加することができます。
クイック追加(Quick Add)
このオプションを使用すると、アイテムを1つずつ追加することができます。ラインアイテムごとに、移行元の「共有ドライブ名(Shared Drive Name)」と「ドライブID(Drive ID)」、および移行先の「ドキュメントライブラリパス(Document Library Path)」を入力する必要があります。
- 移行元の「ドライブID(Drive ID)」の入力は任意です。ただし、移行元テナントに名前が重複する共有ドライブが複数ある場合は、「ドライブID(Drive ID)」を正確に入力する必要があります。
- 移行先のドキュメントライブラリパスは、正確に入力してください(次のセクションの例を参照してください)。
移行先のドキュメントライブラリパスをキャプチャして、ラインアイテムを設定する
スムーズな移行のために、URLからドキュメントライブラリパスをキャプチャすることをお勧めします。次の例は、さまざまなタイプのURL構造と、ドキュメントライブラリパスの正しいキャプチャ方法を示しています。
例1:サイトの配下にあるドキュメントライブラリ
例2:サイトの配下にあるデフォルトのドキュメントライブラリ
例3:サブサイトの配下にあるドキュメントライブラリ
例4:SharePoint Onlineのルートサイト直下にあるデフォルトのドキュメントライブラリ
例5:SharePoint Onlineのルートサブサイト直下にあるドキュメントライブラリ
例6: サイト名やドキュメントライブラリ名に特殊文字が含まれている場合、それらがURLに正しく反映されないことがあります。ドキュメントライブラリパスをURLから正確にキャプチャすることが重要です。
プロジェクトの「詳細オプション(Advanced Options)」を設定する
移行に役立つサポートオプションおよび詳細オプションを以下に示します。
「サポート(Support)」タブで
- InitializationTimeout=8 初期化のタイムアウト値を8時間に増やします。この値は時間単位で、最大は100時間です。100を超える値を設定すると、ミリ秒単位として解釈されます。このオプションは、大規模な移行に対して有用です。例:
- InitializationTimeout=2 タイムアウトを2時間に増やします。
- InitializationTimeout=8 タイムアウトを8時間に増やします。
- InitializationTimeout=14400000 タイムアウトを4時間に増やします。
- InitializationTimeout=21600000 タイムアウトを6時間に増やします。
- RenameConflictingFiles=1
- OneDriveでは、名前が重複する複数のファイルを同じフォルダー内に格納することはできません。共有ドライブの同一フォルダー内に同じ名前のファイルが複数ある場合は、この詳細オプションを使用して、競合するファイルを処理します。
- RenameConflictingFolders=1
-
Microsoftでは、Google Workspacesとは異なり、フォルダー名やファイル名の重複はサポートしていません。そのため、移行元のGoogleドライブから、名前が重複する複数のフォルダーを移行先のMicrosoftテナントに移行する際は、この詳細オプションを設定する必要があります。この詳細オプションを使用すると、名前が重複しているフォルダーは、サフィックスを付けて移行されます。
-
- ShrinkFoldersMaxLength=200 (「200」は、パスを短くする前の最大パス長です。)
- SharePoint Onlineへの移行では、一般的にパス長の制限が問題になります。この詳細オプションがどのように機能するかについては、ナレッジベースを参照してください。
- 詳細オプションを使用して、長すぎるフォルダーパスを短くした場合でも、SharePointのパス長制限内に収まらないことがあるため、注意してください。その場合、エラーがログに記録され、関連するアイテムは移行されません。これを回避するために、移行元のネストされたフォルダーの数を減らし、パスを短くすることをお勧めします。
- InvalidCharacterReplacementString=a (「a」の部分に、ファイル名に含まれるサポートされていない文字を置き換えるための文字列を入力します。)
- SharePoint Onlineでは、ファイル名として使用できない文字がいくつかあります。この詳細オプションを使用すると、ファイル名に含まれるサポートされていない文字のインスタンスを、詳細オプションで指定した文字列に置き換えることができます。(たとえば、「a」など)
- 詳細については、サポートされていない文字に関するMicrosoftのドキュメントを参照してください。
- UserMapping="abc_user1@source-domain->pqr_user5@destination-domain"
-
デフォルトでは、ユーザープリンシパル名(UPN)のプレフィックスに基づいて、移行元から移行先へのユーザーマッピングが行われます。たとえば、ユーザープリンシパル名(UPN)が「name@domain.com」の場合、「name」の部分が照合されます。
移行先に同じプレフィックスを持つユーザーが複数いる場合(例:name@domain1.comとname@domain2.com)や、特定のユーザーのプレフィックスを移行先で変更する場合(例:name@source.com → name.full@destination.com)は、詳細オプションの「UserMapping="name@source.com->full.name@destination.com"」を使用して、各ユーザーに新しい名前または正しい名前を設定する必要があります。
-
ユーザーマッピングのコマンドは、「サポートオプション(Support Options)」セクションに入力します。マッピングが必要なユーザーごとに、1行が必要です。行を追加するには、「+」をクリックします。上の例のユーザープリンシパル名(UPN)アドレスを、実際のユーザープリンシパル名(UPN)アドレスに置き換えてください。
-
「移行元/移行先(Source/Destination)」タブで
- プロジェクト要件に従って、「移行するドキュメントのバージョン数(現在のバージョンを含む)(Document versions to migrate (including current version))」を設定し、「保存(Save)」をクリックします。
- 移行するバージョン数の最小値は1、最大値は25です。
- デフォルトのバージョン数は1です。必要に応じて、この値を変更してください。
- 共有ドライブのメンバーシップ権限をドキュメントライブラリレベルの権限に移行します。
- デフォルトでは、共有ドライブのメンバーシップ権限は、ドキュメントライブラリレベルの権限に移行されません。
- 共有ドライブのメンバーシップ権限をドキュメントライブラリレベルの権限に移行する場合は、「共有ドライブのメンバーシップ権限をドキュメントライブラリの権限に移行する(Migrate shared drive membership permissions to document library permissions)」を選択し、「保存(Save)」をクリックします。
- 移行先のカスタム権限は保持されます。ただし、ドキュメントライブラリがサイトから権限を継承している場合、その継承は無効となり、移行先のライブラリの権限は、移行された権限に設定されます(元の継承された権限は失われます)。
資格情報の検証(Verify Credentials)
MigrationWizでは、データを移行したり、ライセンスを消費することなく、プロジェクトのエンドポイントおよびアイテムの資格情報を検証することができます。
- 検証するラインアイテムを含むプロジェクトを開きます。
- 検証するアイテムを選択します。
- ダッシュボードの「移行を開始」ボタンをクリックします。
- ドロップダウンリストから、「資格情報の検証(Verify Credentials)」を選択します。
- 検証が完了すると、検証結果が「ステータス(Status)」セクションに表示されます。
「完全移行(Full Migration)」を実行する
ドキュメントライブラリの移行を開始する方法
- 移行するアイテムを含むプロジェクトを開きます。
- 移行するラインアイテムを選択します。
- ダッシュボードの「移行を開始」ボタンをクリックします。
- ドロップダウンリストから、「完全移行(Full Migration)」を選択します。
- 「ドキュメント(Documents)」と「ドキュメント権限(Document Permissions)」のチェックボックスがオンになっていることを確認します。
- 「移行を開始」をクリックします。
- 移行が完了すると、移行結果が「ステータス(Status)」セクションに表示されます。
- ショートカットを移行する
- ショートカットを移行先に(.urlファイルとして)移行するには、上記の「完全移行(Full Migration)」の手順に続いて、追加の移行サイクルを実行します。この時、「ステップ2(Step 2)」を選択します。
- 「ステップ2(Step 2)」は、関連するすべてのドキュメントと権限の移行が完了した後に実行します。
- 「ステップ2(Step 2)」は、必須ではありません。ショートカットを移行先に(.urlファイルとして)移行する場合にのみ実行してください。
移行後の手順
お客様所有のAzureストレージ
移行に使用したAzureコンテナーがある場合は、すべて削除します。これにより、移行後にAzureコンテナーのコストが発生するのを防ぐことができます。本移行用に作成したコンテナーのみを削除するように注意してください。
アプリの権限を削除する
- 新しく作成したユーザーを削除します。
- MigrationWizセキュリティグループを削除します。
- 次の手順に従って、移行元または移行先からアプリを削除します。
- PowerShellを起動します。
- PowerShellをMicrosoft 365に接続します。
- 次のコマンドを入力します: Connect-AzureAD
- プロンプトに管理者資格情報を入力します。
- 次のコマンドを入力します:Get-AzureADServicePrincipal -SearchString Migration
- 削除するアプリのオブジェクトIDを特定し、次のコマンドを入力します: Remove-AzureADServicePrincipal -objectId <オブジェクトID>
既知の動作と制限
共有ドライブのメンバーシップ
移行元の共有ドライブに、移行元テナントのアクティブメンバー(直接のユーザーまたはグループメンバー)が1人もいない場合、共有ドライブは移行されません。
制限付きファイルの移行
Google共有ドライブには、「閲覧者」および「閲覧者(コメント可)」の権限を持つユーザーに対して、ファイルのダウンロードを制限できる機能があります。このような制限付きのファイルを移行するには、共有ドライブに「閲覧者」および「閲覧者(コメント可)」よりも高い権限を持つ移行元テナントのアクティブメンバーがいる必要があります。
フォーマット変換
Google独自のフォーマットのファイルは、次のように変換されます。
- Googleドキュメントは、Microsoft Word (.docx)形式に変換されます。
- Googleスプレッドシートは、Microsoft Excel (.xlsx)形式に変換されます。
- Googleスライドは、Microsoft PowerPoint (.pptx)形式に変換されます。
- Google図形描画は、.jpg形式に変換されます。変換されたドキュメントは、移行後に編集することはできません。
- Googleフォームは、.zip形式に変換されます(.htmlと.csvを含む)。
- Google Jamboardは、PDF形式に変換されます。変換されたドキュメントは、移行後に編集することはできません。
- Googleサイト、マップ、Apps Scriptは、移行されません。
コメントを含むGoogle独自のフォーマットのファイル(Googleドキュメント、スプレッドシート、スライドなど)をMicrosoft 365のフォーマットに変換すると、「Text Wrapping Break」などの文言が追加表示される場合があります。
権限マッピング
Google共有ドライブ(移行元) |
SharePoint Onlineドキュメントライブラリ(移行先) |
管理者 |
フルコントロール |
コンテンツ管理者 |
編集 |
投稿者 |
編集 |
編集者 |
編集 |
閲覧者(コメント可) |
閲覧 |
閲覧者 |
閲覧 |
ダウンロードが制限されている閲覧者(コメント可)/閲覧者 |
制限付きビュー(ドキュメントのみ) |
フォルダー名の重複
詳細オプションの「RenameConflictingFiles=1」は、重複するフォルダー名には適用されません。
詳細オプションの「RenameConflictingFolders=1」を使用すると、移行元のGoogleドライブから移行先のMicrosoftテナントに、名前が重複する複数のフォルダーを移行することができます。この詳細オプションを使用すると、名前が重複しているフォルダーは、サフィックスを付けて移行されます。
マルチサイクルの動作
最初の移行サイクルでは、ファイルとそれに関連付けられたバージョンが、移行先に移行されます。後続のサイクルでは、移行元のファイルに新しいバージョンがある場合にのみ、移行先のファイルが上書きされて、最新バージョンに更新されます。
移行元ファイルの内容に変更がない場合、後続のサイクルでファイルやバージョンは移行されず、移行先に変更はありません。
新規フォルダー、名前を変更したフォルダー、既存のフォルダーは、移行先に移行されます。
-
- 以前のサイクルでエクスポートされなかった新しいフォルダーは、後続のサイクルで移行先に作成されます。
- 最初の移行サイクル後に移行元で名前が変更されたフォルダーは、新しいフォルダーとして扱われ、後続のサイクルで移行先に作成されます。以前移行されなかった新しいファイルも、このフォルダーの配下に移行されます。
最初の移行サイクル後に移行元で作成された新しいファイル(ウォーターマークのないファイル)は、後続のサイクルで、移行先にある現在の移行元フォルダーの配下に移行されます。
以前移行されたファイルの名前を変更した場合(または、メタデータなどの他のファイル情報を変更した場合)、変更後のファイルは移行されません。
最初のサイクルで移行されたファイルの内容が、移行先のユーザーによって更新された場合、後続の移行サイクルでは、たとえ移行元のファイルに新しいバージョンがあっても、移行先のファイルは上書きされません。
移行先のMigrationWizId文字列
移行の一環として、「MigrationWizId」、「MigrationWizIdPermissions」、「MigrationWizIdVersion」という追加の情報が、移行データのウォーターマークの一部として、移行先に作成されます。
同様のウォーターマークがバージョンにも追加され、バージョン履歴の一部として表示されます。
バージョン
- 移行元ファイルのバージョンが空ファイルの場合、そのバージョンは移行APIによって無視され、移行されません。
- Google共有ドライブ内のフォルダーとショートカットは、バージョンをサポートしていません。
ショートカット
- 詳細オプションの「ShrinkFoldersMaxLength」を使用して、ターゲットフォルダー名が短縮されている場合、フォルダーのショートカットが移行されない場合があります。
- .URLファイルとして移行先に移行されたショートカットファイルは、移行元でターゲットファイルに直接付与された権限を保持しません。
移行先エンドポイントにSharePointサイトのURLを設定する(必要に応じて)
単一の移行先サイトのドキュメントライブラリに移行する場合、エンドポイントURLを次の形式で設定することができます。https://tenant.sharepoint.com/sites/site-name
移行先エンドポイントにSharePointサイトのURLを設定した場合、移行先のラインアイテムには、URLから抽出したライブラリ名のみを含めます。実際のドキュメントライブラリ名は、URLのライブラリ名の値と異なる場合がありますので、注意してください。以下に示すように、URLからライブラリ名の値を抽出する必要があります。